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テレビ番組ADのリアルな1日【深夜の編集作業編】

ロケや収録が終わっても、ADの仕事はまだ終わりません。
むしろ本当の“裏方力”が問われるのが、深夜に行われる編集作業です。
ここでは、ADが編集ルームでどんな役割を担っているのかを1日の流れでご紹介します。


22:00 編集室に入る

撮影が終わった映像素材を抱えて、編集ルームに直行。
(その前にディレクターが仮編集を行う場合も多い)
エディター(編集マン)やディレクターと一緒に「オンエアに向けて映像をどうつなぐか」を考える時間が始まります。
ADはここで、映像素材の管理人兼サポート役として活躍します。


23:00 素材整理・カット出し

膨大な映像素材をチェックし、

  • 放送で使えそうなシーンのタイムコードをメモ

  • NGシーンを整理

  • インサート(風景や小物の映像)を準備

といった作業を行います。
「ここで笑いが起きた」「出演者の表情がいい」など、ADの気づきが編集に活かされることも少なくありません。


1:00 テロップ・資料作成

バラエティ番組や情報番組では、テロップやグラフィックが欠かせません。

  • 出演者の発言を文字起こし

  • テロップに使うフレーズを提案

  • 画像や資料を揃えてディレクターに渡す

細かい作業ですが、ADの工夫ひとつで映像の見やすさ・面白さが変わります。


3:00 ディレクターと最終チェック

編集が進んでくると、ディレクターと一緒に仕上がりを確認。

  • 「テンポが悪い」「ここは短く」など指示を反映

  • 音楽や効果音のタイミングを調整

  • 放送時間に合わせて分数をぴったりに収める

ADは横で逐一メモを取り、修正点を忘れないように管理します。


5:00 明け方に終了・データ納品

ようやく編集が完了。データを放送局に納品するまでがADの仕事です。
空が明るくなり始める頃に作業が終わることも珍しくなく、「帰るころに通勤ラッシュとすれ違う」というのもADあるあるです。


深夜編集ADのやりがい

  • 「自分の手で番組が完成に近づく」達成感がある

  • ディレクターや編集マンの技術を間近で学べる

  • 放送を見た時に「このテロップ、自分が作ったんだ!」と実感できる

一方で、睡眠時間の確保が難しい生活リズムが乱れやすいという厳しさもあります。


まとめ

深夜の編集作業は体力的にきついですが、番組の仕上げに直接関われる貴重な場です。
「AD時代に編集室で学んだことが、ディレクターになってから大いに役立った」という先輩も多く、まさに成長の修行場といえるでしょう。

ADは“走り回るだけの雑用”ではなく、番組づくりの核心部分にも深く関わっているのです。

次回予告📚
「テレビ番組ADのリアルな1日【生放送当日編】」