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テレビ番組ADからディレクターへ ― キャリアアップのリアル
テレビ業界で働くAD(アシスタントディレクター)の多くは、基本的にはディレクター(演出・進行の責任者)になることを目指しています。
ただし、その道のりは決して簡単ではなく、日々の積み重ねと現場での信頼が欠かせません。
ここでは「ADからディレクターにキャリアアップするまでのリアル」をご紹介します。
AD時代に求められる力とは?
ディレクターへの第一歩は、AD時代の経験にあります。
ADは「雑用係」と思われがちですが、実はディレクターの仕事を学ぶ研修期間とも言えるのです。
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段取り力
台本・進行表の準備やロケの仕切りで磨かれる。 -
瞬発力・判断力
生放送やロケでのトラブル対応を通じて培われる。 -
情報整理力
編集作業で映像をまとめる力は、演出の基礎になる。 -
コミュニケーション力
出演者やスタッフへの気配り・調整が必須。
これらのスキルが、ディレクターになるための土台になります。
キャリアアップのステップ
1〜3年目:走り回るAD時代
とにかく体力勝負。ロケや収録で走り回り、編集室で夜を明かす日々。
「現場を止めない」「ディレクターの意図を理解する」ことを最優先に学びます。
3〜5年目:チーフAD・サブディレクター
ADの中でもまとめ役を任されるようになり、部分的に演出を担当することも。
VTRの一部を構成したり、企画会議でアイデアを出したりと、ディレクターの仕事を体験します。
5〜7年目:ディレクター昇格
番組の1コーナーを任されるようになり、企画・演出・進行をリード。
「ADのときに身につけた段取り力・編集力・人間関係の調整力」がここで活きます。
ディレクターになるとどう変わる?
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番組を“つくる側”になる
出演者のキャスティングや企画立案、編集方針の決定など、番組の根幹を担う立場に。 -
責任が大きい
視聴率・スポンサー・クレーム対応など、成果に対するプレッシャーも増す。 -
裁量が広がる
「自分の演出で番組を動かせる」という自由度は、AD時代にはなかったやりがい。
ADからディレクターを目指す人へのメッセージ
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AD時代は“下積み”ではなく“成長の場”
辛い仕事も「ディレクターになるための経験」と捉えると、意味が見えてくる。 -
信頼を積み重ねることが最短ルート
ディレクターや先輩スタッフから「この人なら任せられる」と思ってもらえることが重要。 -
やりたい演出のイメージを持ち続ける
憧れの番組やディレクター像を追いかけながら働くことで、成長の方向性が定まる。
まとめ
ADからディレクターへの道は、体力的にも精神的にも大変ですが、確実にキャリアアップできるステップがあります。
「段取り・判断・編集・気配り」というAD時代に培ったスキルは、ディレクターになってから必ず武器になるのです。
華やかな番組の裏側で走り回るADの努力が、やがて番組を仕切るディレクターへの扉を開いていきます。