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日テレ人気バラエティを手がける!現役テレビマン座談会
日本テレビ『ぐるぐるナインティナイン』や『月曜から夜ふかし』『しゃべくり007』『人生が変わる1分間の深イイ話』『有吉反省会』など、数々の ヒット番組に携わる株式会社ザイオン。これら人気番組の制作を手がける現役のディレクターとプロデューサーの皆さんの座談会をお届けします。
座談会メンバー紹介
《演出・ディレクター》諏訪一三さん(業界歴26年)
『ぐるぐるナインティナイン・おもしろ荘』では総合演出となって数々の芸人を発掘
《ディレクター》中西裕樹さん(業界歴17年)
『月曜から夜ふかし』ではお馴染みとなっている名物ディレクター
《プロデューサー》石原由季子さん(業界歴22年)
『マツコ会議』で度々画面に登場するプロデューサー。ザイオン取締役。
《プロデューサー》長瀬徹さん(業界歴15年)
『深イイ話』『有吉反省会』のプロデューサー。ザイオン採用担当・取締役。
座談会スタート!!
テレビ業界に入ったきっかけは?
石原由季子さん(以下、石原):まず諏訪さんは25年くらい前にパチンコ屋でスカウトされたんでしょ(笑)。
諏訪一三さん(以下、諏訪):スカウトっていうか、パチンコ屋で知り合った人がたまたまテレビ業界の人で、「テレビの仕事がしたい」って相談したら「じゃあ、テレビの制作会社紹介してあげるよ」って。
石原:25年も前はそういう時代だったのよ、居酒屋でスカウトされた人もいたし。
諏訪:その人に「いつまでも遊んでるんじゃないよ!」って説教されて…(笑)。
長瀬徹さん(以下、長瀬):僕は、自分が小学生や中学生時代に放送していた『元気が出るテレビ』の影響が大きいですね。テレビみていて、本当に元気が出てたんです!だから自分も「元気が出るテレビ」みたいな番組を作ってみたくなって…。
石原:面白かったもんね。
数ある制作会社の中でも、なぜザイオンを選んだの?
石原:私は業界の先輩たちに、「番組制作をやるなら、自分の看板になるからゴールデンタイムの番組にこだわった方がいいよ」って言われてたので、私はずっと“どバラエティ”をやりたいっていうのがあって。それで当時から、ザイオンでは“どバラエティ”のぐるナイがあったからザイオンでやりたいって思ったのよね。
諏訪:制作会社の選び方って人それぞれポイントがあると思うけど、自分の好きな番組をやっている会社を選ぶのも、選択肢の一つとしては大事なことだと思うね。うちに『しゃべくり007』をやりたいってスゴイ熱意を持って入ってきた女の子がいるけど。
石原:その子は韓国から来たんだけど、韓国で『しゃべくり007』をみて、自分なりに日本語とテレビの勉強をしたみたいで…。彼女は、『しゃべくり007』をやるために日本に来たんだよね。それでザイオンに入りたい!って。その熱意は凄かった。
中西裕樹さん(以下、中西):僕は地元でフラフラしてたときに、友達に誘われて上京したんです。元々お笑いに興味があったし、テレビ業界のバイトもしてみたいと思っていて、ザイオンをたまたま求人誌で見つけて「ふら~」っと受けに行ったんです(笑)
長瀬:「ふら~」っと入ったんだ。
石原:「ふら~」っと入ったら、運命の出会いだったってやつね。
中西:はい、テレビの裏方であるザイオンの先輩たちに面白い人が多くて、裏方の仕事も超楽しかったんです。オモテより裏方のほうが面白いのかなって思った。
諏訪:きっかけはそれぞれだけど、やっぱり人との出会いって大切だと思うね。
中西:ザイオンはいい先輩ばっかりでしたね。家族みたいな。電車がなくて帰れない日もたまにあって、先輩が「飲みに行くぞ」って誘ってくれて。それで始発まで飲んでましたね。そんなことでも幸せに感じてましたね。
石原:会社の先輩たちは美味しい食事をご馳走してくれるの。流行のお店にも連れて行ってくれたり。流行のお店を知っていることも大事だから、「先輩はスゴイな、自分もはやく後輩におごれるようになりたいな!」って思ってましたよ。
中西:僕も飲みに行ったらADにお金は払わせないですよ。
--カッコイイですね。
石原:カッコイイっていうか、社風ですよね。
中西:和気あいあいとしてますよ。
長瀬:キャラクターの濃いスタッフが多いですよね!
諏訪:最近は女性のADも多いしね。
AD時代の大失敗エピソードは?
中西:僕は当時、先輩に命より大事だぞって言われていたロケ済みの収録テープをなくしたことがあるんですよ。
一同:うわ・・・(ドン引き)
中西:それと、カメラを壊したことも…。 それは沖縄にタレントさんとロケに行った時、海での撮影だったんですけど、タレントさんが海にドボンと落ちちゃって…。「ああぁ!」って追いかけたら自分で持ってたカメラもそのままドボンって…。トランシーバーも携帯も全部水没しちゃって。それが放送されて「笑い」になったんで…。まぁ、後日怒られましたけど。
石原:諏訪さんは20年以上前だと思いますけど、ADの頃から仕事ができましたよね!なんでもできるスーパーADって言われて。たけしさんのお笑いウルトラクイズで・・・
諏訪:なんで俺のことを石原が話すんだよ(笑)。失敗っていう失敗はないんだけど、あるとしたら奥多摩でロケやった時に車の運転係だったんだけど、タレントさんを乗せて急いで東京に戻らなきゃ行けないのに、真逆の名古屋方面に下ってたっていうのはあったね。
石原:当時は「スーパーAD」っていう、なんでもこなすADをそう言ってて、みんながまさに諏訪さんみたいなADを目指してた。
諏訪:当時出演者もスタッフもハンパない人数の大型番組だった『お笑いウルトラクイズ』のチーフADを一人で任されるっていうのは、絶対にミスできないっていう相当なプレッシャーがかかるわけですよ。そんなプレッシャーの中で常に仕事してたからね。
石原:中には理不尽な先輩もいるわけですよ。でも諏訪さんはそういう先輩の言うことを全部メモってて、「何時何分にこう言いましたよね!僕、間違ってませんよね!」って言うの。
諏訪:嫌なやつ(笑)!でも仕事の基本はメモを取ることだよね。それだけでも失敗は減ると思う。大失敗してものちのち笑い話にしたり、失敗エピソードが伝説になったりするから、この仕事は面白いなって思うね。
中西:僕は、ADが失敗しても最後に笑えたらOKにしちゃいますね。(笑)
テレビ業界で働くために必要なことは?
中西:忍耐、体力、やる気、あとテレビが好きなこと!
石原:責任感とTPOをわきまえること。
諏訪:忍耐だなぁ。あといろいろな情報にアンテナを張っていた方がいい気がする。普段の生活でも番組作りのヒントになることを探しているなぁ。アンテナを張るっていう訓練を常にしておかないといざと言うときに思いつかないね。
長瀬:僕は気をつかえるかどうかだと思う。こうすると資料が見やすいとか、これがあるとタレントさんがやりやすいんじゃないか、とか。いろんな意味で気をつかえること。
石原:確かに仕事が出来なくても、気をつかえる子は周りに評価されるよね。
辞めたいと思ったことは?
中西:僕は入社当時の17年前に1回だけ。昔、ADになりたての頃に渋谷にガングロギャルの取材に行った時、相手がすごい取材に慣れてるギャルで「ギャラいくらくれるの?」「なんて言えばオンエアされる?」なんて言われて。その時に当時のテレビのイヤな部分が見えて、「もしこんなことが日常だったらテレビなんてクソだな」って思った。「こんなんだったらテレビなんかやりたくないな」と。
諏訪:お前、それカッコよくないか(笑)。
中西:かなり昔の話ですけどね。僕も入りたてで若かったですね。でもそれ以降、辞めたいと思ったことはないですね。
長瀬:僕も本気で辞めたいと思ったことは一度もないですね。
石原:私もないかなぁ。
諏訪:俺はAD時代、『お笑いウルトラクイズ』って本番前にADが安全確認のためにシミュレーションやるのよ、逆バンジーとか夜のスカイダイビングとか。車で海に突っ込んだ時に死にそうになって…ダチョウ倶楽部さんの「殺す気かー!」っていう気持ちがよくわかった(笑)でもそういう体験も面白いと思っちゃう自分もいるんだよね。だから辞められないよね。
今の仕事を「やってて良かった」と思うことは?
石原:いくら仕事が大変でも、収録やロケの本番ではタレントさんが大爆笑させてくれるんですよ。その時に、それまでの苦労が吹っ飛んじゃう。幸せだな~って思う。あと、最近はTwitterとかで視聴者の反応がわかるじゃないですか。いいことも悪いこともあるんですけど、意見が返ってくるのは嬉しいですね。力になる。明日も頑張ろうかなって。
諏訪:周囲の反応を直で得られるのはクリエイティブな業界ならではのこと。自分で作ったネタとか、考えたものを周りの人から「あれ面白かったね」って言われると。この感覚はやった人じゃないとわからないから幸せだよね。
--ADさんの中にはやらされている感を抱く人もいるようですが。
石原:それはね、目の前の仕事しか見てないからじゃないかな。3年先を見据えて、いまの仕事をすることがポイントなのかなって思います。
中西:仕事の中で自分なりにやりがいとか幸せを感じることを見つけられれば、そういう感情を抱くこともなくなると思いますよ。
今、やりがいを感じていることは?
長瀬:僕は番組で自分がキャスティングしたタレントさんが別の番組などにも出るようになってブレイクすることが最近嬉しいなって。人の人生が変わるというか。
諏訪:『ぐるナイ おもしろ荘』っていう若手発掘コーナーに出てもらって、それがきっかけで売れて、バイトをしないと生活が出来なかった芸人さんたちが、芸だけでご飯を食べれるようになると嬉しい。
中西:僕は自分が作ったVTRが、ネットの年間検索ワード1位になった時は嬉しかったです。「作ったの俺!」みたいな。世の中にちょっとだけなにかを残した感がありますね。あとは取材協力してくれた人から「楽しかったです」って言われたり、取材したお店の売上が上がったり、何かのお役に立てたかなと思うと幸せですね。
テレビ業界は今後どうなっていく?
諏訪:若い子たちがテレビを観なくなったって言われてるけど、テレビの武器って家族揃って観られるエンターテイメントっていうところだと思う。テレビならではだから、淘汰されるものではないと思う。だから若い子たちには安心してテレビ業界に入ってきてくださいと言いたい。
石原:あとテレビは今後、いろいろな媒体とコラボして、より面白くなると思います。
長瀬:僕はなんとなくですが、東京オリンピックがきっかけで何か変わるだろうなって思います。
中西:僕は逆に考えないようにしています。テレビって今を写す鏡だと思うんですね。今、この瞬間に面白いものを切り取って、放送する。それをたくさんの人が見てくれる。テレビのその形態が大好きなんです。
諏訪:よくテレビ業界が今後どうなるかって話題になるけど、バラエティ番組に関していうと、絶対になくならないと思うんだよね。いつの時代も“笑い”って絶対に大事だからね。
中西:僕もバラエティ番組はなくならないと思います。
一同:(同感)
今後の目標は?
長瀬:僕は番組の企画を一本通す、自分で考えたものをやりたいと思ってます。
石原:それくらい企画を通すのは難しいんです。
長瀬:だから企画を何本か通してる諏訪さんに嫉妬する(笑)
諏訪:宝くじを当てるのと企画が通るのと、どっちが確率が高いかと言ったら…
長瀬:企画が通る方が…難しい??(冗談・笑)
一同:・・・大変!(笑)
諏訪:僕もザイオン制作の番組を増やしていきたいかな。それが会社の顔となり、名刺となっていくわけだからね。だから企画書を作るとか、そういった努力を常にしていかなくちゃだよね。
石原:私はみんなの働きやすい環境をつくっていければいいなって思ってます。みんなの将来を含め、みんなのハッピーを目指してます。例えばですけど、女の子のスタッフにはなるべく休んで、恋愛もしろって言ってます。仕事は逃げないから、と。私が掴んでこなかったハッピーを・・・ね(笑)。
中西:僕は今後も常に笑えるVTRを作っていきたい。少し前からは後輩ディレクターを育てることも重要だなって思って、ディレクターとしてのテクニックを教えてますね。
こんな人にテレビ業界に入ってきてほしい!
石原:みんなと仲良くコミュニケーションを取って仕事が出来る子。そういう子が出世もしていくだろうし、先輩も支えるだろうし、下も育てると思う。
長瀬:やっぱり何事にもポジティブで、ガッツがある人が一番。
中西:僕はただテレビが大好きなんです!って純粋な子。
長瀬:最近採用した子はなによりもテレビ好きでした。
諏訪:テレビ業界に憧れている子もいいと思う。テレビ業界ってどういうところなんだろうって興味を持って入ってくるほうが楽しいだろうし、入ってみて分かることもたくさんある。女の子もどんどん入ってほしい。
--最近女性のADさんがとても多いようですが。
中西:うちは各番組で女性のADが活躍してますね。
石原:みんな責任感ありますよ。
長瀬:けっこう優秀ですよ。
諏訪:女性ならではの気遣い。細かい気配りができる。
テレビ業界を目指す若者にメッセージを!
石原:テレビ業界ってこんな仕事なんだろうなって、最初からイメージができてる子は続けられてる。イメージしないで入った子は「こんな感じだと思ってなかった」って辞めちゃう。こんなことやりたいなってイメージしてから入ってほしいな。
長瀬:面接してるとわかるんですけど、テレビ業界のことをけっこう詳しく調べて来る子は好感がもてますね。自分のやりたいことを明確に持ってることが重要だとおもいます。
諏訪:テレビ業界に入れば人との繋がりがすごく広がっていくし、お金もそこそこ儲かりますよ。俺も若くして都内に一軒家買いましたし。ローンも終わってるよ(笑)
一同:凄い(笑)
諏訪:なにか聞きたいことがあったらとりあえずお話だけでも一度ザイオンにいらっしゃいよ。
中西:話は少しそれますが、人が行かないところにもロケで行けたり、海外ロケにも行けることがテレビやってて幸せなところですよね。
諏訪:一般社会では体験出来ないことが、100倍以上体験出来るのは楽しいよね。
石原:海外だって、観光で行かないような僻地(へきち)に行ったりできるよね。
諏訪:経験することが全部自分にプラスになることばっかりだと思う。
中西:テレビだから出来ることがある。毎日同じ仕事じゃない。
石原:飽きないです!私はこの仕事が続いたのって毎日同じじゃないからだと思う。『しゃべくり007』で言うと、今すごく人気のある芸能人を隅々まで取材して、皆さんが知らないその人の素顔を届けるっていう面白さもあるよ。
中西:ある番組では芸人さんを騙し(笑)、ある番組では毎日タレントさんの仕事場や自宅にまで入って密着取材し、ある番組では渋谷に街頭インタビューに行っていろいろな人の話を聞き、ある番組では女性タレントの悩みを聞き出したり、ある番組ではひたすら猫だけ撮影したり…毎日違うことをやってるから幸せ。
一同:・・・毎日違うことやりすぎでしょ!(笑)
--男女問わず、安心して入ってきて欲しいですね。皆さん、楽しいお話ありがとうございました!
メンバープロフィール
演出・ディレクター 諏訪一三さん
『ぐるぐるナインティナイン・おもしろ荘』では総合演出となって数々の芸人を発掘
1970年生まれ。埼玉県出身。
1989年埼玉県立杉戸高等学校卒業。
《主なディレクション番組》
■『ぐるぐるナインティナイン』
■『しゃべくり007』
■『マツコ会議』
■『ニノさん』
■『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』
《総合演出番組》
■『ぐるぐるナインティナインおもしろ荘』
■『おもろゲ動画SHOW 投稿!1000000000ビュー』
■『オードリー春日のカスカスTV』
■『おどおどオードリー』
プロデューサー 石原由季子さん
『マツコ会議』で度々画面に登場するプロデューサー。ザイオン取締役。
《経歴》
1973年生まれ。鹿児島県出身。
1993年東放学園放送専門学校放送芸術科卒業。
1995年株式会社ザイオン入社。
《主なプロデュース番組》
■『ぐるぐるナインティナイン』
■『しゃべくり007』
■『マツコ会議』
■『マツコ×マツコ』
■『ニノさん』
■『おどおどオードリー』
ディレクター 中西裕樹さん
『月曜から夜ふかし』ではお馴染みとなっている名物ディレクター
1977年生まれ。大分県出身。
1997年九州デザイナー学院卒業。
1999年株式会社ザイオン入社。
《主なディレクション番組》
■『月曜から夜ふかし』
■『人生が変わる1分間の深イイ話』
■『うわっ!ダマされた大賞』
■『真夜中の保健室』
■『関ジャニ特命捜査班7係』
■『明石家さんまの転職DE天職』
■『めざましテレビ ココ調』
プロデューサー 長瀬徹
『深イイ話』『有吉反省会』のプロデューサー。ザイオン採用担当・取締役。
1977年生まれ。愛知県出身。
2001年青山学院大学経営学部卒業。
2001年株式会社ザイオン入社。
《主なプロデュース番組》
■『人生が変わる1分間の深イイ話』
■『有吉反省会』
■『真夜中の保健室』
■『関ジャニ特命捜査班7係』
■『明石家さんまの転職DE天職』
■『超人気有名人のありえない商品 売れる!?売れない!?』
■『スター☆ドラフト会議』