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先輩ADが語る「これが僕らの原動力」~厨子王流“TVディレクターの目指し方”~
日本テレビ『ザ!世界仰天ニュース』や『所さんの目がテン!』など、情報バラエティ~ドラマまで、幅広いジャンルの番組を数多く手がけている厨子王株式会社。番組制作会社では珍しい企画総合演出番組が多いのが特徴です。そんな厨子王(株)で働くアシスタントディレクターの皆さんにお話を聞きました。
厨子王株式会社 アシスタントディレクター 速水勇さん
大阪府出身/尚美学園大学 芸術情報学部卒
大学卒業後、技術会社に就職。1年後、厨子王(株)に中途入社。
担当番組:『所さんの目がテン!』
厨子王に入社した経緯は?
大学が映像とか音響を学べるところで、最初は音声マンとか音関係がやりたくて入ったんですけど、映像ゼミに入ったことがきっかけで制作の方に興味を持つようになったんです。
卒業後は技術会社に就職したのですが、その会社は制作業務もやっていて、やっぱり最初から最後まで一貫して携われる制作業務の方が楽しいなと思って。そこで仲が良かった人が先に厨子王に入っていて、紹介を受けて僕も入ったんです。
最初の担当番組は?
日本テレビの番組で、ミステリー小説を再現ドラマにしてスタジオの人が謎解きをするみたいな番組だったんですけど、すぐに終わってしまって。そこから『ザ!世界仰天ニュース』を1年半くらい担当して、その後、今も担当している『所さんの目がテン!』という流れで来ました。
これまでに一番大変だったことは?
思っていたのとほぼ一緒だったっていうのはあるんですけど、技術会社にいた時からテレビ業界についてはなんとなくわかっていたので。2~3日寝られないとか、僕は大丈夫ですし(笑)。ディレクターと意思疎通を図るのが大変ですね。こっちはいいと思っていても、ディレクターは違うと思っていたり、現場に入ってからトラブルになってしまうのは辛いです。
頑張ってこられた原動力は?
僕はそもそもテレビ業界しかやりたくないっていう意思がありました。絶対にディレクターになって、業界に居続けるっていう芯がずっとあったんです。なのでブレませんでした。怒られてもそこを原動力にしてきたということはありましたね。辛い時もいっぱいありますが、辞めたいと思ったことはないです。
テレビ業界に一生居たいと思ったのはいつ?
技術会社から転向した時から腹を決めていましたが、仕事は最初から本当にずっと楽しくて、制作の仕事をしていなければ人生で行かないような場所に行ったり、知らない世界を垣間見れる楽しさがあります。
アシスタントディレクターの仕事で一番楽しいことは?
現場をいちばん把握して全部を仕切れるところです。ADが情報収集してきたことを、ディレクターが知らないとか。「俺の方が知ってるぞ」なんていうちょっとした優越感とか(笑)
「でもこうした方が面白いんじゃないですか」っていう提案とかまで出来たらいちばん面白いと思います。
後輩を育てる苦労はある?
正直言ってしまうと、あれこれ教えるより自分でやった方が楽なんです。でもそれだと後輩が伸びないので、任せる勇気っていうのがいるのかも知れませんね。
テレビ業界に入る前にやっておいた方が良いことは?
入ってから覚えることの方が多いから、特にないんですけど。ただ、Word、Excelとか、パソコンが使えないのは不利かも知れないです。映像の知識は特にいらないと思います。
あとは、テレビをたくさん見ることじゃないですかね。番組制作の仕事はやっぱり好きじゃないとやってられないと思います。
厨子王のここが良い
厨子王は社内の雰囲気が良くて、みんな仲が良いです。普段の担当番組以外にもヘルプで色々な番組を手伝うこともあるので、ほぼ全員と関わることが出来ます。みんなとフラットに話が出来る風通しの良い会社です。
テレビ業界を目指す人にメッセージを
やりたいって思ったら僕はやった方がいいと思うんです。興味があるなら飛び込んでみるっていうのは絶対に良いことだと思います。そして、やると決めたら簡単に諦めない心を持ってほしいです。
厨子王株式会社 アシスタントディレクター 木村翔太さん
山梨県出身/東京工科大学 メディア学部卒
大学卒業後、新卒で厨子王(株)に入社。
担当番組:『ザ!世界仰天ニュース』
厨子王に入社した経緯は?
高校の時に学園祭で劇をやったんですけど、なぜか僕が台本を書くことになって。やってみたら裏方ってすごく面白いなって思ったんです。つくることの楽しさを知ったことで、テレビ業界に入りたいと思って、大学はメディア学部に入りました。
就活ではテレビ関係しか受けていなかったのですが、厨子王の会社説明会に行った時、社長が「全局制覇する」って言っていて、それが自信に満ち溢れていて、自分もこの人についていったら成長できるんじゃないかと思って厨子王に入りました。
担当番組は?
入社してからずっと『ザ!世界仰天ニュース』ですが、合間合間で特番もやっています。『仰天ニュース』は長い番組なので、ルールとかスケジュール感とかが決まっていて、それを把握しているのでやりやすいんですけど、特番は決まっていないことが多いので、臨機応変に対応しなければならないのが大変だと思います。タレントさんが出るロケとか、『仰天ニュース』ではあまり経験しない感じの番組もやってみたいと思っているので、特番でそういう機会があるのは楽しいです。
現在の目標は?
ディレクター試験に早く合格することですね。
ディレクター試験とは?
年に1回社内で行われる試験で、それに受かったからと言っていきなりディレクターの仕事を任されるというわけではないんですが、ディレクター候補ということで給料面でも少し違ってきます。1年以上在籍していれば挑戦可能で、毎年テーマがあって、例えば今年は「『夢』をテーマに5分の番組を作ってください」というものでした。テーマがない年もあって、「どこどのスポンサーで、こういう時間帯で流れる5分のCMを作ってください」というのもありました。おのおの5分の尺で作るんですけど、情報を詰め込もうとすると時間がなくなったり。
ディレクターになるために努力していることは?
この仕事をしてるわりにはあまりテレビを観る時間がないんで、もっといろんな番組を観て、テロップの入れ方とか、演出の仕方とかを勉強したいなと。
あとはやっぱり身近にディレクターがたくさんいるので、その人たちを見て吸収していきたいなと思っています。
ディレクターになったら作りたい番組は?
スタジオ収録の時に、自分が作ったVTRが流れるんですが、それを観てお客さんが驚いてくれたり感動してくれたり、そういった反応を見れるだけでもやりがいを感じる瞬間なので、ディレクターになって人の心を動かすようなVTRを作れるようになりたいです。
厨子王の良いところは?
上から下までみんな隔たりなく、話しやすいというか、フレンドリーって言うのとはちょっと違うかも知れないですけど。みんな仲が良いからチームワークはすごく良いと思います。やっぱり番組はみんなで作ってくものなので、そこは大事だと思います。
あとはグループ会社に編集所があったり、あと最近は車両会社も立ち上げようとしていて。
ロケとか編集とかを、外部に頼らなくても出来るっていう部分が良いと思います。
会社の行事は?
年明けに研修旅行っていうのがありますね。基本的には、1年以上在籍している人は皆行けるんですけど。特別な理由がなければほぼ全員行きます。昨年はグアムで、その前はセブ島に行きました。
研修旅行では何をするの?
普段、制作の人しかVTR作りはしないと思うんですけど、例えば総務の人とか。研修旅行では全社員を何班かに分けて、15秒のCMを5本ずつぐらい作って、競い合うんです。行った先で商品を買って、それをCMみたいにして。1日だけ自由時間はあるんですけど、あとはみんなで撮影して編集したり。1位になった班は、ごほうびがもらえるっていう。
テレビ業界を目指す人にメッセージを
なかなかテレビ業界で働くことをイメージすることは出来ないと思うんですけど、入ってみたら最初はもしかしたら「あれ?なんだ、楽勝じゃねーか」って思う部分もあるかも知れないんですけど、でもやっぱり大変なときはホントに大変で。でもそんな時でもくじけないで、前向きに頑張れる心の強い人が入ってくれたらと思います。
あとはやっぱり責任感を持つことが大事です。自分の担当しているものを完成に持っていく、そういう気持ちがある人と仕事をしたいなと思います。
厨子王株式会社 アシスタントディレクター 大熊早貴さん
神奈川県出身/日本大学 生物資源科学部卒
大学卒業後、他社の制作会社を経て厨子王(株)に中途入社。
担当番組:『珍種目No.1は誰だ!?ピラミッド・ダービー』
番組制作を志望した理由は?
大学が理系だったんですけど、番組制作の仕事もずっとやってみたいと思ってたんです。
テレビが好きで、単純にミーハーだったんです。どうやって作っているのかなっていう、テレビの見えない部分に興味がありました。大学時代はイベントのアルバイトとかしてたり、非日常が好きだったっていうのもあります。体力とか必要だし、やるなら若いうちから入った方が良いと思っていました。就活では技術職の会社も受けていたのですが、普通のオフィス勤めよりいろいろな経験が出来るし、普通なら行けないような所に行けたりとか、絶対楽しいと思って飛び込みました。
担当番組は?
今はTBSの『珍種目No.1は誰だ!?ピラミッド・ダービー』を担当していますが、入社してからはいろいろな番組を転々として定まることがないです。NHKの番組もやっていますし、『トコトン掘り下げ隊! 生き物にサンキュー!!』とか日本テレビの『ザ!世界仰天ニュース』も担当しました。
色々な番組を渡り歩く大変さは?
マニュアルがそれぞれの番組でバラバラなので、手探りでようやく覚えたなと思っても、番組が終わったり。そういったことは大変ですけど、毎回違うことがやれるので面白いです。
これまでで一番大変だった仕事は?
TBSの番組で女性タレントと一緒に「ツナ缶づくり」をするという企画があったんですけど、マグロを釣るところから始まるんです。マグロ漁に5日間出て、缶詰工場に2週間くらい泊まり込みでやったんですけど、もう帰りたくて帰りたくて。朝5時に漁に出て一日中ずっと船の上で、酔って吐いて、これはやばいと。で、それ以上粘るのは断念したという・・・。
女性スタッフならではのエピソードは?
一般の方の家にお邪魔する時などは、女性スタッフの方が安心してもらえる気がします。男性スタッフより良いとよく言われますね。あと、いち視聴者として女性目線だと良いことはあります。特に女性目線の番組を作る時には、男社会のテレビ業界はどうしても偏ってしまうので。
女性スタッフならではの大変なところは?
男性に比べて力がないことです。撮影機材が重いので。ロケ行く時も力が欲しいなといつも思います。
作ってみたい番組は?
もともと大学で環境保全系の勉強をしていたので、エコ番組に憧れて入ったんです。自然の力で電気を作るとか、勉強していた知識を活かしたいと思っています。これまで全然活用されていないので、忘れかけてるけど(笑)
テレビ業界にはどんな人が向いている?
テレビが好きな人。単純作業よりいろいろなことをやりたい人。アクティブに新しいことをしたい人。興味を持って色々調べたり興味を持って出来る人がいいと思います。そして、ストイックじゃないとですね。私は寝れないとかは覚悟して入っているんですけど、風邪もひかないし、丈夫なのかな(笑)
辞めたいと思ったことは?
ツナ缶の時もちょっと思いましたけど(笑)でも、実際に辞めようと思わないのは、番組の節目節目で達成感を感じられることが大きいですね。番組が過酷であればあるほど(笑)
新たな番組を一から始める時も楽しいと思えます。
自分がリサーチした人をディレクターに選んでもらえて、放送に出演してくれたりする時も達成感が味わえます。ADは一番最初に提案することができる立場なので楽しいです。
今チャレンジしていることは?
月に8日は休みを取る制度があるんですけど、効率良く仕事をして休めるようにしたいです。いろいろな場所に出かけたいです。外で得た知識で仕事に活かせることもあるので。
厨子王の良いところは?
シャワールームや仮眠ベットがあるのは安心感です。いざというときに使えるので。人間関係も和気あいあいとしていますね。よくみんなでご飯を食べに行ったりとかもします。
テレビ業界を目指す人にメッセージを
少しでも興味があるなら入ってみた方が良いです。私が本当に興味だけで受けて入ったので(笑)仕事が過酷だということだけがネックでしたが、入ってみて楽しいことはいっぱいありましたし、いろいろなことにチャレンジ出来ます。