100パー年齢制限アリ!?現実離れした法律に感じるジレンマ!
人材紹介会社の職業紹介責任者に義務付けられている【職業紹介責任者講習】を受けてきました。
もう何度目の職業紹介責任者講習になるのか忘れたくらい受講していますが、毎回モヤっとした気持ちになります。
「職業紹介事業の適正な運営のために」というテキストに沿って講習が進められていくのですが、その中に「職業紹介事業における募集・採用時の年齢制限の禁止について」という項目があり、求人募集にあたり年齢を制限してはならないというルールについて説明があります。
年齢だけではなく、男女雇用機会均等法による性別制限などもしてはいけませんという話が続きます。
事例ビデオも観るのですが、採用年齢に制限をかけてくる求人企業を人材紹介会社の営業がたしなめる場面が出てきます。
「スキルのある方を年齢で断ってしまうのは、御社によって機会損失になりますよ」的な。
それで求人企業は納得して、希望よりもかなり年齢の高い方を採用する、チャンチャン。
こうなればどれだけハッピーかと思いますが、現実はそうはいかないのです。
まず、ほとんどの企業が求人募集の際に年齢制限を設けています。
求人企業だって、年齢制限をしてはいけないというルールは知らないわけではありません。
しかし、キャリアトレインのような人材紹介会社に依頼して募集する場合も、自社のHPで募集する場合なども同じで、採否を分けるのは年齢が大きく影響していると言わざるを得ません。
厚労省の指導としては、年齢制限を改めない場合は、『雇用対策法』『職業安定法』違反となる為、人材紹介会社は求人依頼を受けてはいけませんというわけです。
オーマイガー!
そんなこと言ったら、求人ゼロになってしまいます。
ただし、例外として年齢制限が認められる場合があります。
テレビ番組制作職などは、アシスタントからスタートして長期的に番組制作スタッフとして育て、キャリアアップさせることになる為、以下の例外事由が用いられます。
【3号のイ 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合】
なんとかかんとか例外事由を駆使して、原則は守っている体(てい)にしているのが現状です。
そんなわけで私も、年がら年中このようなジレンマに陥っているわけですが、そんな時に某企業からこんな求人依頼が届きました。
年齢と経験のバランス
ここ1年以上、思うように採用ができない某芸能プロダクションがあります。
営業、マネージャー、経理、総務、法務など、複数の職種で募集を募っています。
採用担当者からは、連日のように「何とか人材を紹介してほしい」と懇願されている状態です。
求人依頼を頂くのは大変嬉しいことなのですが、これこそまさにジレンマMAXとなります。
▼採用担当者「贅沢言わないので、とにかく紹介してほしい」
▽私 「では、対象年齢をあげてもいいでしょうか?」
▼採用担当者「年齢なんか、高くても全然いいよ」
▽私 「42歳の女性で法務を中心にバックオフィスのキャリアが豊富な方がいます」
▼採用担当者「う~ん、いっても35歳までかなぁ~」
▽私 「35歳までって、全然年齢高くないし・・・(心の声)」
さらに別の某エンタメ系企業の選考ではこんなことがありました。
求人企業が求めるスキル・経験を十分持っている36歳の求職者がいました。
しかし、企業の判断はNG。
「年齢の割に経験年数が少ない」という判断です。
企業が見ているのは、年齢と経験のバランスというわけです。
スタート年齢が少し遅かっただけで、中身の濃さや業務範囲の広さなどが比例するとは限りません。
ただ長くやってりゃいいってもんじゃないでしょ(悔)
その他にも、「管理職で採用しなければならない年齢なのでごめんなさい」というのもありました。
その企業の規定では、年齢によってポジションが決まっていて、例えば45歳の方ならば役職付きでの採用になってしまうそうなのです。
求職者ご本人は、「役職なしの一般社員で採用してくれて構わない」と言うのですが、いわゆるオーバースキルと判断されてしまいました。
年齢制限の壁をぶち破る
求人企業が設ける年齢制限の壁を突破する明確な方法があるわけではありませんが、やれるだけのことはやりたいと思っています。
①求職者のメリットをアピールする
スキルや経験はもちろん、人柄押しで採用後の懸念点を軽減。
②しれっと応募する
年齢制限をオーバーしていても積極的に提案。
③一度で諦めない
何度も応募するのはNGですが、要件変更の確認は怠らない。
色々と手を尽くしても年齢制限の壁を破れないことはたくさんあり、本当に求職者の皆様には申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
日本中でこんなことをやっているわけです。
平均寿命から考えて、活躍できる年齢はかなり長いはずです。
マクドナルドで週4夜勤勤務の93歳の方の記事を最近見ましたが、世界的企業はやはり違いますね。
企業にもそれなりの事情があって採用の年齢を制限するわけですが、HPや求人サイトなどに「○○歳までの方」と表記することはありません。
知らずに応募して、年齢が理由ということもわからず不採用通知を受け取る求職者が気の毒でなりません。
そんな状況を生んでしまう法律が悪いのか、徹底されないことが悪いのか、新卒一括採用の弊害なのか、あらゆることが考えられますが、
何十年も考え方を変えない(変えられない)のはどうにかならないものですかね・・・。