誰の為にもならない!?本音を言わない退職者たち
退職者の約半数は会社に本音を話すことなく辞めていくことがわかりました。
「会社(人事)に伝えた退職理由は、本音と異なるものでしたか?」(『エン人事のミカタ』2016年2月調査)
<会社に伝えた退職理由>
①結婚、家庭の事情23%
②体調を壊した18%
③仕事内容14%
<本当の退職理由>
①人間関係25%
②評価・人事制度12%
③社風や風土11%
給与
拘束時間(残業・休日出勤等)
このように会社に伝えた退職理由と本当の退職理由はまったく違うものになっています。
本当の退職理由を言わない理由
上記のアンケートによると、3位まではこのようになっています。
①円満退社したかったから34%
②話をしても理解してもらえないと思ったから21%
③会社批判になってしまうから11%
円満に退職出来ない理由がある?会社批判?何だか退職者本人がグッとこらえて退職する印象です。
『いつの間にか退職』で後の祭り
キャリアトレインの就職・転職サポート経由で、ある番組制作会社に入社したKさん(女性・23歳)。
番組制作会社での就業経験を持つKさんは、新たな環境でスキルアップすることをとても楽しみにしていました。
転職先の番組制作会社は業界でも大きい方で、正社員として入社することは簡単ではありませんでした。
数回の面接を経て、待遇も以前よりグッと上がりました。
Kさんに関しては、人材紹介会社としては心配の対象ではありませんでした。
ところが、Kさんが入社して3ヶ月になろうとしていた頃、紹介先企業からメールが届きました。
「○月○日付けでKさんが退職されました。理由は○○○○とのことです。以上」
あまりにも早いKさんの退職にはもちろん驚きましたが、紹介先企業の対応にも驚きました。
「○月○日付け」とはメールを受信した1週間前だったのです。
退職することは1ヶ月前、数週間前にはわかっていたはずです。
いくらなんでも事後報告なんて、、、
Kさんが会社に伝えたという退職理由も腑に落ちません。
一発で「そんなわけないだろ!」とわかるようなものなのです。
退職して1週間も経ったKさんと連絡を取ることは叶いませんでした。
本当の退職理由は聞けないままで、Kさんのフォローも何も出来ません。
紹介先企業側への対応も複雑です。早期退職したことは事実なのでお詫びしなければなりませんが、Kさんだけが本当に悪者なのか!?
本当の退職理由を知ることが出来ないのは、知る必要がある場合はモヤモヤしか残りません。
ばっくれ退職で想像にお任せします!?
Kさんは一応筋道を立てて退職していきましたが、中にはこんな退職者もいます。
どこの業界にも多い!?『ばっくれ退職』
バイトじゃないですよ、正社員でもある日突然来なくなる人がいるのです。
テレビ業界への人材紹介で、いわゆる番組のアシスタントディレクターのばっくれは、ひっくり返るくらいの驚きはなくなりました。
退職理由も何もわかりません。
だからと言って、「あ、そう」というわけにはいかないので、根気よく連絡を取るようにします。
1週間、2週間、、、いつかは連絡が取れるものです。
大体、ある日突然メールが返ってくるのですが、もう会うこともないからか、愚痴めいた退職理由が多い気がします。
多分、面と向かっては言いづらいのだろうと想像出来る内容です。
こんな時、アシスタントディレクターのみんなはなぜ逃げてしまったのか考えます。
「入る前はあんなに頑張ると言っていたのに、いぜやってみると辛かった。そんなことは言いたくないし、気まずい。」
「嫌な先輩や人間関係があって、波風立てるのも面倒くさい。」
私の経験上ですが、性格的に大人しくて優しいタイプのアシスタントディレクターほど、ばっくれ退職率が高いように感じています。
「言えない」「なんだか悪い」「気まずい」という気持ちが、「面倒」に変わった瞬間、無意識に逃げに走ってしまうのかも知れません。
同じ業界で転職するという退職者もいます。
尋問を受けたわけでもないのに、本当の退職理由なんて言う必要ない。
退職者本人としては立つ鳥跡を濁さずというつもりかも知れませんが、胸のうちに閉じこめて辞めていってしまうことで、会社はいつまで経っても“ハダカの王様”状態です。
改善しなければならないことも気付かず、ただただ退職者を見送るばかりです。
人材紹介会社という、求職者を企業に紹介する立場としては、退職者の声を反映して改善が進んでいる企業に紹介したいと切に願うばかりです。
《石川かおり》