「企業理念に共感しました」を志望動機にするならば意識したい5つのこと
TBSテレビで先週スタートした火曜ドラマ『ユニコーンに乗って』(主演:永野芽郁)は、経営者として、採用に関わる仕事をしている者として色々と興味深い内容でした。
ドラマの舞台は、学生時代に知り合った仲間同士で起業した教育系スタートアップ企業。
新しく社員を採用しようとする場面で、西島秀俊さんが演じる元銀行員の小鳥(48歳)が面接にやってきました。
20代だらけの会社に、48歳のおじさん(!?)が志望してきたわけですが、それもそのはず。
募集要項には、「年齢不問」と書かれていました。
面接官の若者達は、コソコソと騒ぎ出します。
「誰だよ。募集要項に年齢不問って書いたやつ」
「仕方ないでしょ。今はそういうご時世なんだから」
はいここ!
実際は年齢制限をしているのに、雇用対策法で禁止されているから公表できないという。
応募者側には堪ったもんじゃありませんよね。
まぁ、これはさておき、私が注目したのは小鳥のセリフです。
小鳥「御社の理念である“ITの力ですべての人が平等に学べる場所を作りたい”という思いに強く共感し、ここにやってまいりました」
【企業理念】を志望動機として、応募書類や面接で話すのはよくあることです。
企業理念とは、企業が大切にしていることやビジョン、ミッションなどを言語化したものです。
経営理念と混同されやすいのですが、【経営理念】は、経営者自身の想いや経営目標、方針などを示したものです。
企業の規模感や状況によって混同しても問題ない場合もあるので、【企業理念】と【経営理念】と、無理やり分けて考える必要はないかと思いますが、
採用選考の場面においては、経営者個人の思いに共感したというよりも、企業の価値観に共感したという方が視野を広く感じられるかと思います。
【企業理念】はあったほうが社内外に伝わりやすかと思います。
しかし、大層な企業理念があったとしても、全従業員にきちんと浸透しており、同じ方向に向かっていなければ意味がありません。
【企業理念】とうたっていなくても、コンセプトやスローガン、メッセージ、行動指針、CSR、クレドなんて言い方をしている企業もあります。
このようなお題目がついていなくても、どこかしらに企業のメッセージは出ているはずです。
ちなみにキャリアトレインでは、理念ではなく求職者向けには「マスコミで生きる。」をキャッチフレーズにしてシンプルにお伝えしています。
クライアントや一般向けのメッセージとしては、下記のようなことを伝えています。
「企業と求職者を繋ぐ架け橋となり、マスコミ業界を盛り上げることが当社の使命」
「誠実に心ある人材サービス会社として皆様の″真のパートナー″でありたい」
もちろん、このメッセージに二言はなく、今現在も心がけていることですが、創業から14年目となり、変化をきたしていることも事実です。
旧態依然のやり方や考え方に縛られた理念では、企業の独りよがりでしかありません。
理念は時代の変化やニーズ、社会の価値観によって、柔軟に変わっていっても良いと私は考えています。
「企業理念に共感した」を志望動機にするなら
就職・転職の選考対策として、企業理念を抑えることは必須です。
だからこそ同じように、「企業理念に共感した」という志望動機を話す応募者がいるわけです。
企業理念を志望動機とすることは問題ありませんが、内容次第で面接官への印象が変わります。
企業理念を志望動機に盛り込むことで、マイナス評価になってしまう方もいます。
そうならないためにも、以下を意識してみてください。
①共感した理由が浅く薄っぺらくなっていないか
②正しく意味を理解しているか
③具体的にどのようなところに共感したのか説明できるか
④企業理念の結びつく自身のエピソードはあるのか
⑤その企業でなければならない企業理念はあるのか
「企業理念に共感した」という志望動機は、オリジナリティがないと他の候補者との差別化が図れず、埋もれてしまう可能性があります。
志望動機の書き方や面接での伝え方を意識するのは大事ですが、もっと大事なのは、本当にその企業の理念に共感しているのかということです。
付け焼き刃で選考だけ乗り切ろうとしても、どこかでミスマッチが生じる可能性があります。
じっくりと企業の理念を読んで考えてみてください。
<石川かおり>