大転職時代がやってくる!「転職回数の多さ」イコール「転職できる優秀な人」になるまでは
今回の転職で5社目になるAさん(32歳)が苦戦しています。
映像ディレクターとして経験を持つAさんですが、これまでの会社では不運が続いていました。
事業縮小→会社都合で退職
番組終了→契約終了
経営不振→退職勧奨
などなど。
すべてが会社都合の退職ではありませんが、辞めたくて辞めたわけではない事情もありました。
そして今回、コロナ禍真っ只中に入社した会社で、一部事業を撤退することとなり、Aさんの担当していた仕事がなくなってしまったのです。
会社からはまったく毛色の違う部署の仕事をするか、会社都合で退職するかの2択を迫られました。
Aさんは映像ディレクターの経験が活かせる仕事を求め、退職することにしたのですが、転職活動がうまくいきません。
転職回数がネックになっているのです。
会社によって採用基準に転職回数を設けているところもあります。
(例)
20代:転職2回まで
30代:転職3回まで
40代:転職4回まで
明確な基準を設けていなくても、採用担当者の感覚でジャッジされることは多々あります。
回数ではなく、「1社の在籍期間が短い」という理由でNGになることもあります。
また、派遣の職歴も「転職」とカウントする場合、派遣先が変わっただけでも「転職が多い」と見なされたこともあります。
転職回数の多さがネガティブなイメージに繋がることを、私は度々ブログでぼやいていますが、1ミリも状況は変わりません。
日本は転職回数だけで不採用になる摩訶不思議な国です。
海外では転職は当たり前でネックになることはありません。
<1つの会社にいる平均年数>
アメリカ:4.2年
イギリス:5年
中国:1年半(1990年代以降生まれ)
出典:『外資系歴10年以上、英語とか転職とか』
むしろ海外では転職が多いほど高評価されます。
・仕事に見合ったスキルを持っている
・多様な経験や発想力を評価
・収入の増加やキャリアアップをしている
・採用に値するバリューが高い
・高いコミュニケーション能力がある
・チャンスを求めて動ける人
冒頭のAさんもそうですが、日本でも「転職できる人」は「優秀な人」と捉えるべきです。
今だったら特に、「コロナ禍でも採用される人」なわけです。
職務経験、ヒューマンスキル、向上心がある、行動力がある、チャレンジ精神を持っている、などなど。
転職回数だけでは判断できない、逸材かもしれません。
『大転職時代』がやってくる
ここ1~2年、転職業界ではこんなキーワードがトレンドです。
大手人材サービス会社や調査会社が行っている転職意識調査では、転職を検討しているビジネスパーソンは半数以上を超え、7割ほどが転職に対して「ポジティブなイメージを持っている」と回答しています。
転職は更に一般化するかという予測では、9割以上が「一般化していく」という回答結果になりました。
終身雇用の終焉、年功序列の崩壊、定年消滅時代の幕開け、人生100年時代の到来、そしてコロナによって起こった社会の変化。
不透明な時代を生き抜くために、仕事への価値観が以前と同じでよいわけがありません。
『転職』を繰り返し、個人のスキルを上げていくことや条件を上げていくことはもはや当たり前の時代になっています。
ただ、勘違いしてはいけないのは、転職すればよいわけではありません。
「○○が嫌だから転職」「なんとなく転職」「キャリアアップにならない転職」など、ネガティブな理由で転職を繰り返してはただの「続かない人」です。
転職回数が多い人の対策
とは言え、転職者としては、まだまだ時代に追いついていない採用の実情に合わせて対策する必要があります。
転職回数によるネガティブ要素を払しょくするために、下記の点を意識してみましょう。
■転職理由を明確に
・具体的な意図を添えて理由を説明
・在籍期間が短い場合は謙虚な姿勢で説明が必要
■転職で得たスキルや実績をアピール
・どのようなスキルが身についているか
・具体的な実績を伝える
・どのような経験をしてきたか
■キャリアに一貫性を持たせる
・仕事内容が違っても共通点を見つけてアピール
・なぜその仕事を選んだのか説得力を持たせる
■意欲が高くポジティブな姿勢で
・採用したら活躍できそうな気持ちにさせる
・転職後のビジョンに向かって前向きな選択であることをアピール
・自分のセールスポイントを明確する
結局のところ、転職回数が多くても、採用したら会社に貢献できる人材ならばよいわけです。
貢献を予感させるように、これまでの転職で得たことを、どのように役立てられるのかを伝えられるように準備することが大切です。
<石川かおり>