マスコミ・エンタメ業界で働く皆さんも注目!【2024年の法改正/ルール変更】

2024年1月29日

2024年がスタートして、もう1ヶ月が経とうとしていますが、働くうえでの法令やルールが変更になる(なった)ことは、皆さんに関わることもあるので、抑えておきたいところです。

例えば、マスコミ・エンタメ業界のお話しではありませんが、「2024年問題」というのを聞いたことはあるでしょうか?

2024年4月1日以降、トラックやバスなどのドライバーの労働時間に上限が設けられることになりました。

【自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限】

ドライバーの慢性的な長時間労働を是正するために設けられた法改正ですが、下記のような影響が懸念されています。

・労働時間が減ることで運べる荷物が減る=サービス低下の可能性
・人件費が上がり運送業の売り上げが減る=ドライバーの収入も減る可能性
・メリットを感じない(稼げない)業界になる=人手不足に拍車がかかる可能性

ドライバーの過重労働を防ぐことはとても大事なことですが、企業運営や日常生活など、社会全体への影響は避けられない模様です。

このように、ピンポイントで業界や業種の働き方を改革する動きは多々ありますが、すべてのビジネスパーソンに影響を及ぼす法改正やルール変更もあります。

2024年からの変わること

皆さんに関わりそうなことでは、下記のような法改正やルール変更があります。

【4月】労働条件の明示ルールが変更

労働基準法15条:使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない

具体的な労働条件の内容は、労働基準法施行規則5条に定められています。

・労働基準法施行規則5条を改正
・新たな項目を追加

<すべての労働者>
■「雇い入れ直後」の就業場所・業務の内容に加え、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲を明示

<有期契約労働者>
■締結と契約更新のタイミングで、更新上限(有期労働契約の通算契約期間、または更新回数の上限)の有無と内容の明示が必要
■「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)と無期転換後の労働条件の明示が必要

【4月】裁量労働制の見直し

裁量労働制とは?
①専門業務型裁量労働制
業務の性質上、その遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し具体的な指示をすることが困難な業務

②企画業務型裁量労働制
事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査、分析の業務であって、業務の性質上、その遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し具体的な指示をしない業務

出典:労働局HP(厚労省)

『裁量労働制』は、マスコミ・エンタメ業界での勤務条件によく登場しますが、テレビ番組制作職は『①専門業務型裁量労働制』に当てはまります。

専門業務型裁量労働制の対象となる19業務の中に入っています。

5.放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサーまたはディレクターの業務

今回の法改正では、この19業務に「M&Aアドバイザリー業務」が追加されました。

あとの追加ルールは。

①専門業務型裁量労働制
・制度の適用にあたって労働者本人の同意を得ること
・同意をしなかった場合に不利益取り扱いをしないこと
・同意の撤回の手続きと、同意とその撤回に関する記録を保存すること
→労働者が制度を正しく理解し、労働者の自由意志に基づいて同意していることが重要

②企画業務型裁量労働制
・同意の撤回の手続きと、同意とその撤回に関する記録を保存すること
・労使委員会に賃金・評価制度を説明する
・労使委員会は制度の実施状況の把握と運用改善を行う
・労使委員会は制度の実施状況の把握と運用改善を行う
・定期報告の頻度について、初回は6か月以内に1回、その後1年以内ごとに1回に
→労働者を保護しながらも労使にとって有用となる制度

参照:「裁量労働制の省令・告示の改正」(厚労省)

【10月】社会保険の適用範囲拡大
パート・アルバイトの社会保険の適用が段階的に拡大され、2024年10月から従業員51人以上の企業も対象になります。

<従業員にとってのメリット>
・厚生年金加入で年金受け取り額が増える
・「傷病手当金」や「出産手当金」も利用できるようになる
・障害厚生年金または障害手当金(一時金)、遺族厚生年金が支給される

【11月予定】フリーランス保護新法
フリーランスは特定の企業や組織などに所属せず収入を得るため、いわゆる「労働者」ではないため、労働関係法令の適用がありません。

フリーランスが不利益を受けることなく働けるよう新たな制度が成立しました。

①業務委託時に給付の内容、報酬の額等を明示
②原則として業務提供の完了日から60日以内に報酬を支払う
③委託事業者が遵守すべき禁止事項を守る
④募集情報を正確に表示する
⑤ハラスメント対策や出産・育児・介護への配慮
⑥契約不更新・中途契約する場合は事前予告する

マスコミ・エンタメ業界では、フリーランスで働く方もたくさんいます。

委託事業者とフリーランスとの信頼関係を深めるため、きちんと制度を理解しておくことが大切ですね。

就職・転職サポート応募※非対面でも実施中!

<石川かおり>

PAGE TOP