30歳オーバーは想定外!?未経験者歓迎のホンネ【TV業界】

2015年6月3日

年齢制限はしてはダメ

平成19年10月1日から改正雇用対策法の施工により募集・採用の際に年齢制限を設定してはいけないことになっています。

厚労省 年齢制限禁止
厚労省

でも求人票を見ていると年齢制限が書かれているような?

■25歳までの方
※長期勤続によるキャリア形成のための年齢制限

年齢制限がやむをえないとされる例外事由があるのです。

年齢制限禁止例外事由

番組AD募集でよく書かれているのは3号

3号のイ 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

番組制作会社に四大新卒で入った場合、スタートは22歳くらい。

ディレクターへの道が開ける頃が26歳~29歳くらい。

30歳頃にはディレクターとしてノってくる時期になります。

このように長期的に番組制作スタッフを育て、キャリアアップさせるのが番組制作の世界です。

例えば、30歳で番組制作会社に入社を希望する方がいたとしたら、上記のように8年のキャリアを持つ同い年がいるわけです。

専門学校卒の場合、さらに+2年間の経験がありますね。

22歳から入った番組制作スタッフはどれだけ揉まれて30歳を迎えるか。
ダテに8年も経験しているわけではなく、番組制作のステップを年々歩んできたわけです。

30歳で入った方に、同じようにステップを踏ませたらディレクターと呼ばれるころには30代半ばをとっくに過ぎます。
30代半ばを過ぎたディレクターとなると、相当のスキルを求められます。
つまり相当なプレッシャーがかかってくるのです。

誰が一番苦しいかと言うと、本人なわけです。

年齢が高い応募者に対し、番組制作会社の採用担当者が思うことがあります。

  • 「本人がしんどくなる」
  • 「将来の責任が取れない」
    「年齢相応の待遇が与えられない」

と、本人のことを思ってのことばかりなのです。

もちろん「年上の先輩問題」もあります。

自分よりずっと年下のスタッフが、経験年数は何年もあったり。

例えば23歳のADさんがいます。

専門学校を卒業してすぐに入社していたら3年もキャリアがあるわけです。

30歳で入る方が「気にしません、大丈夫です」と言ったとしても、気を遣うのは年下の先輩なのです。

裏側!テレビ業界の未経験者歓迎求人

「未経験者歓迎!」と募集している求人は多く見かけますが、何歳でも良いということではないのです。

業界・業種によるとは思いますが、テレビ業界の「未経験者歓迎!」求人のほとんどは、30代以上の方が来ることを想定していません。

今いる若年層の社員とキャリアに差がつきにくい方を求めているのです。

《想定する応募者像》

  • ・何もないところから育てる上で、新卒とあまり変わらない年齢層の人材
    ・社会人としての基本的なマナーくらいは備わっている第二新卒(24歳~26歳くらい)人材
    ・1年後、、、10年後のキャリアプランが描ける人材
    ・育てることにより伸びしろが期待できる人材
    ・実務経験はなくても、パソコンの基本操作は出来る若年層の人材

など、経験は問わなくても、ポテンシャルを年齢で判断するケースは現実的にあります。

企画を考える男性

成功例!30歳オーバーの未経験者

ここまでお読み頂くと、「未経験者歓迎!と書かれている求人に高い年齢の方が応募しても無理。」と受け取られる方もいるかと思います。
確かに上記に挙げたような理由から、選考はかなり難しい現実がありますが、見事年齢の壁を突破した方も中にはいます。

芸能マネージャーから番組制作スタッフへ

番組制作スタッフが芸能マネージャーに転向するケースは結構あるのですが、逆は珍しいかも知れません。

35歳のOさんは、20代の頃から芸能界に身を置き、芸能マネージャーとして活躍してきた方です。
Oさんの楽しい人柄に惹かれる業界人は多く、相当な人脈を築いてきました。
ある時から番組の作り手側に回りたいと考えるようになり、芸能マネージャーをしながら企画を練るようになりました。
アピールし続けるとチャンスは訪れるもので、知り合いのプロデューサー経由で、ある人気番組の制作スタッフとして参加出来ることになりました。
芸能マネージャー職を捨て、番組制作の一番下からスタートを切りました。
35歳にして未経験の領域に入れたことも凄いのですが、Oさんはそのキャラクターを活かし、若いスタッフに受け入れられています。
芸能マネージャー時代に築いた人脈も番組制作に大いに活かされていて、Oさんを番組制作の世界に送り込んだプロデューサーは見抜いていたのかも知れません。

ナンバーワン営業から番組制作スタッフへ

某大手不動産会社で優秀な営業マンとして活躍していたFさん(30歳)

大学の就活時には、一般的な企業に就職することが決まった道のように考えていて、心の片隅で興味を持っていたテレビの世界へチャレンジすることはありませんでした。
営業マンとして忙しい毎日を送る中、何かを置き忘れた思いがずっとあったそうです。
30歳になり、思い切って番組制作会社に転職することを決めました。
少し遅い気はしていたのですが、30歳で番組制作の世界へ入ることがそれほど難しいとは想像していませんでした。
何社か受ける中で嫌というほど思い知らされ、やっと1社受け入れてくれる会社とめぐり合うことが出来ました。
それから4年目を迎える今年、Fさんはディレクターに抜擢されました。

上記のOさんもFさんも、番組制作の世界に入り何年か経っている方たちです。

30歳以上の未経験者で番組制作の世界に入れる方もいますが、続かない例もたくさんあります。

無意識に前職と比べてしまったり、年齢とキャリアのバランスに苦しむ方もいました。

では、未経験者でなければ年齢は関係ない!?

年齢とキャリアのバランスは、実務経験がある方にも降りかかります。

例えば・・・

■芸能マネージャー経験3年のAさん(38歳)

ある芸能プロダクションの募集要項にはこう書かれていました。

・芸能マネージャー経験3年以上の方
・40歳以下の方

Aさんはばっちり当てはまります。
ところが書類選考を通ることが出来ませんでした。

理由は、「年齢のわりに経験年数が少ない為」ということでした。

経験が長ければ仕事が出来るのかというとそうではないかも知れませんが、評価されにくい現実は確かにあります。

まとめ

年齢に囚われず、なりたい自分にチャレンジすることは素晴らしいことだと思います。

ただ、「○○がしたい!」「覚悟はあります!」「若い人には負けません!」と言っても、その仕事に就く為に何の努力もしていなければ説得力がありません。

20代後半で映像編集の仕事に就きたいと言う方がいましたが、自宅のパソコンで簡単に触れることが出来る編集ソフトさえ見たこともないと言うのです。

30代前半の番組アシスタントディレクター希望の方からは、「テレビはあまり観ない」と言われてしまったこともあります。

20代後半以上でテレビ業界を志望するのなら、酷なようですがいきなりハンデを背負っているという現実を理解する必要があります。

若いスタッフの何倍も努力して、追いつけ追い越せです。

挑戦しないことには始まらないけれど、年齢なりの説得力は持ち合わせたいところです。

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《石川かおり》

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