1ヶ月で退職するAD…「就職楽勝!」が招いた悲劇

2015年6月1日

就活時のリサーチが必要

どの業界も同じですが、テレビ業界も空前の人材難が到来しています。

この時期になると、クライアントの口から半分冗談(半分本気!?)で発せられる言葉があります。

「2ヶ月くらい経つと辞める新卒が出てくるんじゃない?」

「5月病で辞めるADいない?」

すぐに辞めてしまった新卒に期待しているわけではありませんが、それほど人手不足ということがわかるかと思います。

テレビ業界の番組アシスタントディレクター(AD)職に就いた新卒がこの時期に辞めるのは、一般的によく言われる5月病とは異なります。

「こんな仕事だと思わなかった」「休めないのが辛い」「残業が多すぎる」・・・etc

テレビ業界以外でもこのような理由はそこらじゅうに転がっていますが、『テレビ番組のAD』という職業はこんなことは当たり前で、調べようと思えばわかることなのです。

早々につまずく原因の1つとして、就活時の安易な職業選択がまずは挙げられます。

消せるボールペン
PILOT フリクション

公益財団法人日本生産性本部が毎年発表している新入社員のタイプというものがあります。
平成27年はなるほど納得。

「消せるボールペン型」

見かけはありきたりなボールペンだが、その機能は大きく異なっている。見かけだけで判断して、書き直しができる機能(変化に対応できる柔軟性)を活用しなければもったいない。ただ注意も必要。不用意に熱を入れる(熱血指導する)と、色(個性)が消えてしまったり、使い勝手の良さから酷使しすぎると、インクが切れてしまう(離職してしまう)。

出典:公益財団法人 日本生産性本部

「ゆとり社員」の特徴としてよく言われることが3つあります。

  • ①プライベートを優先
  • ②打たれ弱い
  • ③個性が大事

プライベートを優先する新卒を酷使しちゃったら結果は見えています。

こんな調査結果もあります。

新入社員調査:「給料少なくても残業ない方がよい」5割超

西日本シティ銀行グループのNCBリサーチ&コンサルティング発表

今時の若者や新卒が全員同じ考えとは言いませんが、多くの意見として受け止めなくてはならないのではないでしょうか?

「若者が何を言っているんだ」と批判するのは簡単ですが、働き方に対する考えは多様化しているのです。

働き方だけではありません。

理想の上司は「寛容型」

新入社員意識調査:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

会社に望むのは『人間関係の良さ』だそうです。

こんなんで先輩や上司にめったくそに怒られたら・・・。辞めちゃうのかなぁ、やっぱり。

一般的な企業に就職する新卒たちでも上記のような意識を持っているのに、テレビ業界なんてすべて希望と真逆になってしまうわけです。

キャリアトレインの就職サポートでも、15年新卒には「休日・残業」へのこだわりを感じました。

「若いうちはがむしゃらに働け」という時代ではないというのは感じていますが、それにしてもテレビ業界では難しいんです。

新卒入社1ヶ月で辞めたADの場合

キャリアトレインの就職サポート面談で話した時から、就職先には「週休2日」を希望していたSさん。

CM制作会社への就職を目指していたのですが、卒業間近になっても決まらず、とりあえず内定をもらっていたテレビ番組制作会社へ就職することを決めてしまったSさん。

テレビ番組には興味がないと言っていたので、心配しかなかったのですが。

『休めない・帰れない・怒られる』を1ヶ月で経験したSさんは、入社1ヶ月で退職となってしまいました。

就職を焦るあまり、本来希望していなかった職に就いた結果です。

もちろん誰もが希望通りの職業に就けるわけではないですが、Sさんの場合は番組制作について全然知ろうとしなかったのです。

退職から1ヶ月経った頃、Sさんから「CM制作会社で土日祝休みの会社を探したい」と連絡がありました。

CM制作会社だって、テレビ業界とそう変わりません。これはかなり難しい注文です。

そうこうしているうちに「週休2日なら何でも良い」になってしまいました。

それならそれで良いのですが、「何でも良い」と入った会社で続くのかまた不安です・・・。

就職が楽勝だった新卒男性

さて、同じような状態になっているのはSさんだけではないようです。

番組制作会社各社から続々と新卒の退職が発生していると聞こえてくるようになりました。

毎年早々に退職するADはいますが、今年は何だか多いような・・・?

就活が楽勝だった?

5月19日に文部科学省、厚生労働省から公表された2015年3月に卒業した大学生の就職率は、前年比2・3ポイント増の96・7%に上昇したそうです。

就職する気がある新卒は、ほぼ全員就職したということですね。

入社1ヶ月で辞めた新卒は、そのレッテルが貼られることを恐れていないのであれば、よほど就活が楽勝だったのでしょうか。

少し前の就職難時代ならば、そのままフリーターになるパターンも多かったのですが、今や新卒早期退職組でも本人次第で次から次へと就職することが可能になってしまいました。

良いのか悪いのか、こういう状況では次の会社でもまた失敗するかも知れませんね。

私の個人的な考えとしてはこう思うのですが、、、

親でも付き合っている人でも親友でも良いので、周りを見渡してみると人生観と言うか、、、ちゃんとしようと自然に思えるかも知れません。

誰かに頑張っている自分を見せたい、喜ばせたいと思うのも手だと思います。

自分本位だけで生きるのも、どっかで終わりにしないとですよね。

自分を客観的に見て、“カッコいいと思える自分”をどこかで見付けられたら良いなと思います。

就職・転職サポート応募

《石川かおり》

PAGE TOP