ADからRe:スタートしたディレクター~もう一度テレビ業界へ~
テレビ番組制作専門の派遣会社から、某キー局へ派遣され番組スタッフとして勤務していたSさん(27歳)
アシスタントディレクター(AD)からスタートし、チーフAD→ディレクター見習いと順調にステップアップしてきました。
大学を卒業し、新卒でテレビ業界に入ったSさん。
それから5年ほど経った昨年、退職を決意したのです。
ただ、決して番組制作の仕事が嫌になったわけではありませんでした。
退職理由は3つありました。
①親友が飲食店を開店することになり、飲食店経営に興味のあったSさんは手伝うことに。
②5年弱のテレビ業界生活で、一度他の環境に身を置いてみたいと思った。
③担当していた番組(コーナー)が縮小となり、抜けるには良いタイミングだった。
突然退職に思い立ったわけではありませんが、色々なことが重なりSさんはテレビ業界から去ることとなりました。
もう一度テレビ業界へ
退職から約半年。
キャリアトレインの就職・転職サポート面談に訪れたSさんは、「もう一度テレビ業界に戻りたい」という気持ちに溢れていました。
一度他の世界を見たからこそ、テレビ業界の楽しさを再認識したそうなのです。
Sさんに限らず、一度テレビ業界を離れて戻ってくる方は意外に多いものです。
まだ20代のSさんは、本格的な番組ディレクターを目指すには遅いことはありません。
まずはSさんの希望を整理することになりました。
- ①スポーツ番組に携わりたい。
②ADではなく、ディレクター(見習いでも)として採用して欲しい。
③以前よりも給与を上げたい。
Sさんが持つテレビ業界での5年弱の経験は確かなものですが、希望のすべてが叶うとは言い切れませんでした。
新たな番組でスタッフも全員知らない中で、果たしてSさんの実力が即戦力として通用するのか。。。
Sさんの希望を叶えられそうな番組制作会社が見つかりました。
その会社は某キー局のスポーツ局に社員を出向(派遣)していて、スポーツ番組に携わるチャンスがたくさんあります。
面接に進んだところ、制作会社の代表、出向先のスポーツ局の部長共に同じ意見で、「まずはチーフADから」というお話を頂きました。
いきなりディレクターとして入ることで、Sさん自身がハードルを上げてしまうことになるからです。
それはSさんにとってプレッシャー以外のなにものでもありません。
周りに認められて初めてディレクターと言えるのです。
新たなスタートは・・・
ディレクターとしての採用を期待していたSさんですが、諸先輩方のお話を聞いて思い直しました。
当初の希望とは反対に、「ディレクターとして上がれるように一からやり直したい!」と気持ちを新たにしたようです。
無事、テレビ業界への復帰を果たしたSさんの勤務条件は以下のようになりました。
- ①番組制作会社の社員採用。
②チーフADからディレクターを目指す。
③某キー局スポーツ局へ出向(派遣)。
まとめ
転職に際して、これまで経験してきたことに自信を持ち、高い希望を掲げることは悪いことではありません。
ただ、目の前の条件にこだわり過ぎて先々を考えられない場合、リスタートを切ることさえ出来なくなります。
Sさんのように、自分がどうしていきたいのかを第一に考え、転職先で自分の存在価値を示して、初めて本当の評価を受ける時がやってくるのだと思います。
《石川かおり》