30歳を過ぎたらアピールにならない言葉がある。

「やってみたい」
「覚えたい」
「頑張ります」

このことを象徴するような出来事が先日の面接で起こった。
私はとても歯痒い気持ちになり、かと言って出しゃばる雰囲気でもなく、
面接担当者の物足りなそうな表情をチラ見するしかなかった。
映像技術職として10年以上活躍してきたDさん33歳(男性)
性格的に口数の多いタイプではないが、
映像業界での確かな実績があるので大いにアピールして欲しいところだった。

今回の面接は、これまでとは少し違う類の仕事へのチャレンジだったのだが、
持っている業務経験と十分重なる部分はあった。
企業もそう思ったからこそ面接になったのだ。
一通り業務内容の説明を受けた後、
面接官から会社の印象を聞かれた。

Dさんは一言。

「やってみたいです」

(がくっ)
そりゃそうでしょう。
だからエントリーしたのであって・・・。

HP等を見ただけでも技術的なことはわかるはずだし、
実際業務内容の説明を受けて“プロ”なりに思うところがあるはずだ。
触れたことのない機材があった。

それについては、

「わからないけど覚えたい」

(がくっ)
そりゃ覚えてもらわなきゃ困る・・・。

面接官もDさんが本当に志望しているのか疑問に思ったのか、
今回の仕事への興味を探る質問をしてきた。

Dさんはやはり一言。

「頑張りたいと思います」

(がくっ)×3

業界経験者なのであれば、これまでの仕事をきちんと伝え、
新しい企業でどのように活かせるのか、
どの経験をどのように活かせるのかを説明するべきだ。

何がわからないのか、
わからないことをどうやって覚えるのか。

ただ、「覚えたい」だけでは、
企業としては本当に覚えられるのか不安になる。
20代の未経験者ではあるまいし、
「頑張ります」はない。

どの部分で会社に貢献出来るのか、
どの部分で自分の経験を活かせるのか。

経験者が面接官に答えを引き出されているようでは全然ダメ。

せめて、今回の仕事(企業)にどれだけの興味があって、
何に惹かれているのか、入社したら何が出来るのかくらい説明しなければ。

年齢が高い方(経験がある方)には企業はそれなりの給与を支給する。

面接で、“プロ”の会話が成立しないようでは、企業はその人に価値を感じることが出来ない。

面接は商売と同じ
自分と言う商品を高く買ってもらいたいのならば、どんな所が良いのか、売り込まなくてはならない。
ただ置いてあるだけで売れるのは消耗品。

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≪石川かおり≫