「かばんはビジネスバッグの方がいいでしょうか?」

面接を控えた映像ディレクターMさんからの電話だった。

ディレクターの面接というと・・・

スーツにリュックみたいな格好が定番!?

そんな面接ルックに慣れてしまっていた私は驚いてしまいました。

このMさんは実に13年振りの面接。
新卒の時以来ということだ。

新卒だったら面接の掟に則った服装である。
その時の感覚でMさんは悩んだのだと思う。

長年フリーディレクターとして活躍してきたMさんは、
面接ルックなんて必要がなかったのだ。

今回、「就職」を目指し活動中なのだが、
そんな中である大手企業の面接となった。

それにしてもMさんの就職活動に対する真摯な姿勢には驚かされた。

履歴書や職務経歴書を完璧に作成し、
企業側からの課題「企画書」もすぐに作成してくれた。

職務経歴書の書き方がわからないディレクターも多い中、
見本にしたいくらいの物を提出してくれたのだ。

面接時には髪の色も変えてくれた。
そんなに明るい色だったわけではないが、真黒に。

全体的に「就職」に対する熱意や本気度がよくわかる。
こうなると特に応援したくなるのが私の信条。

Mさんをバックアップするべく只今奔走中!


それにしても昨今「真面目なディレクター」が多い。

テレビの世界のディレクターというと、
服装も自由だし、髪色や髭の縛りもない。
見た目だけではなく、少し常識が違う部分もある。
良いとか悪いではなく、一般企業のノリではないのだ。

ところが、最近面接まで進むディレクターは揃いも揃って真面目。

上記のMさんのように、書類はきちんと整えてくれるし、
面接対策のようなことにも真剣に取り組んでくれる。

ディレクターのIさんは証明写真も拘ってくれた。
金髪、髭ボー、Tシャツなんて証明写真は論外。

「やってる番組見ればわかるでしょ?」
みたいに横柄に振舞うディレクターも少なくなった。

それほどディレクターを取り巻く環境が厳しくなったとも言えるのだが、

もはや「テレビの常識がみんなの常識」みたいな感覚は通用しないのだ。

クリエイティビティでありながら、一般的な感覚も兼ね備えている。
そんなディレクターでなければ生きにくい世の中なのかも知れない。

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≪石川かおり≫