~表舞台から裏方へ~ 人生のレールは一本じゃない。さぁ!ここからどこへ行こうか!
役者、お笑い芸人、タレント、バンドマン、モデル、ダンサーetc・・・。
このような人達の第2の人生にかかわることが驚くほど多い。
Yさん(28歳男性)は役者として舞台を中心に活躍していた。
テレビドラマや再現VTRに出演することは年に1回あるかないか。
28歳という年齢は若いと思うか、それともいい加減落ち着いた方が良いと思うか。
Yさんは役者として鳴かず飛ばずの自分に限界を感じていた。
そろそろ潮時かも知れない。
では一体自分に何が出来るのか?
社会人としての経験はアルバイトしかない。
役者として大人の世界で生きてきたつもりだが、ビジネスマナーとなると自信はない。
考えたあげく、自分はこれまでテレビなどのメディアに惹かれ、
単純に好きなんだということを再確認した。
出る側は無理だけど、作ることならどうだろう?
仕事で番組制作のスタッフとはかかわってきた。
番組スタッフ達がどういった動きをしていて、どんな立場で、何が大変か。
それなりに観察してきたつもりだ。
さすがは役者のYさん。
すっかり番組スタッフとしての自分を想像していた。
28歳は、未経験者として飛び込むには少し遅い年齢だ。
それでも受け入れてくれる番組制作会社はあった。
しかし仕事を始めてみて思い知った。
見るのとやるのじゃ、全然違う!!
数分のVTRを作るのに、こんなに拘るなんて。
ホームビデオでちゃちゃっと撮って繋ぐわけでもあるまい。
“映像のプロ達”を目の当たりにして、Yさんは感動したらしい。
役者人生を終えて、第2の人生にふさわしい場所を見付けたのだ。
お笑い芸人として活動していたIくん(23歳男性)はちょっと違う。
小さい頃からお調子者でクラスの人気者だったIくんは、
高校卒業後、芸人養成所に通い、コンビ芸人としてオーディションを受ける毎日だった。
そんなある日、よくある話がIくんを襲った。
突然のコンビ解散。
相方が田舎に帰ってしまったのだ。
残されたIくんは芸人を続けるというよりも、違う道に進むことを決意。
真っ先に思いついたのは「芸能マネージャー」だった。
持ち前の明るさと度胸で、芸能事務所の門を叩いたIくん。
まずは付き人のような形で入社が許された。
もちろんマネージャーに求められるのは“営業力”
上下関係の厳しい芸人の世界にいたIくんは気遣いが出来る人だったが、
「営業」となると何をどうしたら良いかわからない。
毎日めちゃくちゃに怒られながらも営業のノウハウを必死で掴もうとしている。
Iくんは完全にキャラクター勝ちの部分があるが、それだって転職の立派な武器になる。
未経験者に求められるのは結局“人間力”なのだ。
可愛らしいルックスのRさん(25歳女性)は歌手だった。
華々しいデビューを飾ったわけではないが、インディーズではそこそこ人気だったらしい。
そんなRさんに転機が訪れた。
あるライブに出演した際、
そのライブを仕切っているイベント会社のスタッフを見て、
単純に「カッコイイ」と思ったのだ。
Rさんと同じ年くらいの女性スタッフが汗だくになりながら会場の準備をしていた。
観客に何か大声で説明をしている。
照明さんなどの技術スタッフと何らや打ち合わせをしている。
出演者の立ち位置をチェックして指示を出している。
目まぐるしく動き回るこの女性スタッフがキラキラ輝いて見えたのだ。
現在、歌手の活動を辞めたRさんは、あるイベント会社で制作アシスタントをしている。
将来はイベントプロデューサーになり、人々を楽しませるイベントを作りたいと言う。
この他にも、表舞台から裏方へ転身した人をたくさん見てきた。
みんなが共通しているのは、とにかく「エンタメが好き」という気持ちを持っている。
テレビを観るのが好き、舞台やイベントを観る・参加するのが好き、音楽やダンスが好き・・・。
さらにこれらのことを仕事にすることの厳しさも心得ている。
「好きこそ物の上手なれ」
マスコミ・エンタメ業界を志すみなさんもご自身を振り返ってみて欲しい。
「好きじゃなきゃやってらんない」とつぶやく業界人は多いが、
本当にそうなのだ。(つくづく)
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