気になる!番組制作会社の休日と残業【vol.2】
テレビ業界の休日と残業について前回のブログで少しだけ紹介しましたが、番組スタッフを雇用している番組制作会社や番組制作会社からスタッフを派遣や出向で受け入れているテレビ局などは、労働環境について何も対策していないのかというとそんなことはないのです。
私も毎日のように番組制作会社の社長やスタッフを管理している方から改善案の相談を受けています。
今頑張ってくれているスタッフが長く安心して働くことが出来るように。
テレビ業界志望者の減少に歯止めをかけるために。
「好き」だけど、終わらない番組制作
番組制作スタッフが休日返上、長時間労働で頑張る理由を「好きだから」という話をしましたが、キリよく仕事が終わればそれに越したことはありません。
そもそも、なぜ番組制作の仕事はそんなにも忙しく働かなければならないのでしょうか?
■人手不足
そこそこの規模の番組なのにADが1人しかいない!⇒ディレクターは自分の仕事で手一杯!⇒そしてADが疲弊して辞めていく!なんていう悪循環!ただでさえ志望者が少ない上に、入っては辞め、入っては辞めを繰り返してしまうところも。
■仕事量が多い
番組制作の過程で制作スタッフがやらなければならないことがあまりにも広範囲に及びます。
企画会議~リサーチ~ロケハン~許可申請~取材~各種手配~ロケ・収録準備~ロケ・収録~編集・MA~オンエア・・・
その他にも待機時間やなかなか決まらない物事にぎりぎりに対応したり、スケジュール通りに進まずやたらと時間がかかることばかり起きます。
1時間の番組を作るのに関わる人は100名を超えると言います。
衣装、美術、技術、取材対象者、許可申請窓口・・・なんやらかんやら。
それだけの人と連携して仕事を進めるのは相当時間がかかることが想像出来ます。
番組制作の構造上の問題は徐々に進化・効率化していくほかないのかも知れませんが、それ以外に制作スタッフを抱える会社が変えようとしていることがあります。
変わる!変わった!?番組制作会社
ここ1~2年で行っている番組制作会社の労働時間対策
■人を増やす
これまではぎりぎりの人員で番組制作を行っていましたが、スタッフ一人ひとりの負担を減らす為、余剰に採用してでも人を増やす作戦に出てきました。
■労務管理者を置く
自らも忙しく働くプロデューサーやディレクターが若いスタッフを細かく見ることが出来ません。スタッフの勤務状況(勤怠)をきちんと管理する専任者を置くことで、過剰な労働を防いでいます。
■派遣先も管理
番組制作会社のスタッフがテレビ局や他の制作会社に出向派遣されることは多々あります。出向先の労働環境に合わせて働くことになりますが、出向派遣元である番組制作会社が勤怠を把握し、出向派遣先での過剰労働の抑制しています。
■月4日以上の休日を死守
労基法では毎週少なくとも1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日が定められています。どうしても取得出来ない場合、代休・振替休日を利用し、帳尻を合わせるようにしています。某有名番組制作会社では、一昨年あたりから毎週日曜日は全スタッフが必ず休むように徹底しています。
番組制作会社には2つのタイプがあります。
①上記のように可能な限りの対策をする会社
②番組制作の世界は仕方ない、そういうものだと現状を変えようとしない会社
面接等でどちらのタイプかわかることもあるので、求職者は注意してみるようにしてください。
最先端を走らなければならないテレビ業界が、昨今の風潮にはすっかり置いてきぼりを食らっています。
2017年はいよいよ本格的に労働環境に関して考え、変わらなければ取り返しのつかないことになります。
そんなことは私が言わなくても番組制作の方々は肌で感じているはずです。
現代を生きる若者の考えを理解してくれる番組制作会社はちゃんと存在しています。
やってみたいけど、休みとか不安・・・。と二の足を踏んでいる求職者の皆さん!
まずは自分の目で確かめて、納得出来る番組制作会社を選択してみてはいかがでしょうか。
《石川かおり》