気になる!番組制作会社の休日と残業【vol.1】
テレビ番組制作会社の採用担当者と、面接に訪れる応募者について話すと、どの会社も同じ特徴が見られます。
応募者からの質問のほとんどが【休日や残業について】なのだそうです。
他の質問は滅多になく、休みや残業のことばかり聞いてくるそうなのです。
それはキャリアトレインの就職・転職サポート面談でも同じで、休みや残業についての質問が真っ先に飛び出します。
私「何か聞いておきたいことある?」
求職者「休みって実際どのくらいあるんですか?」「週に何日くらい徹夜ってあるんですか?」
テレビ業界を志望するからには、一般的な会社と比べて休みが少なく、残業も多いことは覚悟済みです。
でも、それにしてもどれだけ休めないのか?どれだけ家に帰れないのか?
応募者が気にならないはずがないのです。
若者の3割は働きたくない!?
一昨年、「若者の就労観」について調査した結果が発表されました。
18~29歳の若者に働くことへの意識を聞いたところ、、、
「働くのは当たり前だと思う」(39.1%)
「できれば働きたくない」 (28.7%)
調査会社:株式会社ビデオリサーチ
調査対象:男女18~49歳男女5,400サンプル
同じ年、平成26年度の新入社員へ「働くことの意識」を調査した結果、、、
「残業は手当てがもらえるからやってもよい」(69.4%)
※過去最高を更新
新入社員の約7割が残業はいとわないがそれに見合った処遇を求めている傾向がうかがえる。
調査会社:日本生産性本部/日本経済青年協議会
調査対象:平成26年度新社会人研修に参加した企業の新入社員2,203人
上記の2つの調査結果は2014年のものです。
2017年現在は過去最高を更新しているのではないでしょうか?
若者の就労観を受けて、テレビ業界ではどうかと言うと、、、
残業代という概念がないテレビ業界!?
一般的に残業をする理由は下記のようになっています。
1.「自身の日常業務が終わらないから」 (45.7%)
2.「突発的なことに対応する必要があるから」(27.6%)
3.「残業手当(時間外給与)が欲しいから」 (15.8%)
調査会社:一般社団法人日本能率協会
調査対象:20歳~69歳までの男女1000人
調査期間:2016年7月
なるほど、残業手当目当ての残業もあるのです。
さて、テレビ業界ですが・・・
残業代という概念はありませ~~~~ん!
そもそも「残業って何?」みたいな感じです。
「1日の勤務時間って決まってるの?」「24時からの会議って1日の始まり?終わってる?」みたいな。
いや、ないというか固定残業代(みなし残業)は給与に組み込まれていますが、それ以上の支給はないというわけです。
<例1>
月給220,000円(固定残業代月52,480円含)
<例2>
月給200,000円(固定残業代月40時間含)
こういった雇用条件はテレビ業界に限ったことではありませんが、テレビ業界の場合は一般的な企業に比べて多すぎる残業が問題なのです。
ちなみに昨年末、リアルか大袈裟か知りませんがこんな記事がネットを駆け巡りました。
単純に仕事の一つとしてテレビ業界を志望する若者には理解できないのではないでしょうか。
担当番組によって決定する休日
休日についても同じです。休日出勤手当を支給している番組制作会社はあまり聞いたことがありません。
会社の休日が週休2日と決められていても、担当する番組の制作スケジュールが都合よく週休2日取れるものとは限りません。
ロケや収録、編集などが1週間のうちにびっちり組み込まれる週があったり。
特番制作だったら放送してしまえば終わりになりますが、レギュラー番組の場合はそういった週が繰り返されるわけです。
さらに特番とレギュラーを掛け持ちで制作することもあり、休むタイミングは一体いつやらと言う月もあります。
ただし、休日は“担当番組による”というのは本当で、週休2日で休んでいるスタッフも実際にいます。
1週間のうちに休みが取れなくても、1ヶ月のうちに代休や振替休日を取るパターンもよくあります。
番組やスタッフの置かれている状況によって休日の取り方はバラバラなので、一概には言いづらいのも事実です。
番組制作会社の面接で確認しても、採用した方がどの番組に就くか決まっていない場合、面接官も答えようがないかも知れません。
既存スタッフの1人を例に出してもらって、確認する感じになるかと思います。
テレビ業界で頑張る若者たち
「休めないし、残業多いしテレビ業界なんて絶対嫌だ!」という方達はそれでいいのです。
テレビ業界はなぜ休めないのか、残業が多いのか?
悪循環も否めませんが、それ以上に「良い番組を作りたい!」と言う気持ちを持った若者たちが集まっているからなのです。
これはクリエイティブ業界全体的に共通することかと思います。
番組制作スタッフの方に、「なぜ頑張れるのか?」と聞くと、皆さんこんなことを言います。
「苦労を乗り越えてみんなで一つの番組を制作してオンエアされた時の達成感がたまらない」
「自分が作った番組を家族や友達に観てもらって「良かったよ」と言ってもらえるのが喜び」
「毎日辛いけど、目の前にある仕事を一生懸命やってたら目標が見えてきた」
ブラックだなんだと、テレビ業界の悪いところばかりがクローズアップされて志望者がどんどん減っていくことは大大大問題ですが、結局はテレビ業界での目的意識を持って好きでやっている方じゃないとできない業界なんですよね。
とは言え、番組制作会社としても「スタッフが好きでやってるんだから休みもなく長時間労働で良し」としているわけではありません。
もちろん番組制作の構造的に「終わらない!」「間に合わない!」という理由で長時間労働になってしまっているスタッフもたくさんいます。
頑張っている若いスタッフたちの気持ちに応える為に、雇用側の意識も年々変わってきています。
次回(2/8)のブログでは労働環境を改善しようとしている番組制作会社を紹介します!
《石川かおり》