ディレクター?プロデューサー?方向性が見えないAD達
テレビ番組制作の現役アシスタントディレクター(AD)と話していると、こんな悩みを抱えている方が本当に多くいます。
「ディレクターになりたいのか、プロデューサーになりたいのかわからない」
テレビ番組制作の世界は、先輩達を補佐するポジションであるアシスタントディレクターからスタートする方がほとんどです。
その後のステップはだいたいこんなパターンに分かれます。↓↓↓
パターン①
AD⇒チーフAD⇒ディレクター(D)⇒チーフディレクター⇒総合演出
パターン②
AD⇒アシスタントプロデューサー(AP)⇒プロデューサー
パターン③
AD⇒制作デスク他
ADからディレクターになっても、総合演出までならない方もいます。
ADからAPになって、プロデューサーにならない方もいます。
このようにADからのステップは様々ですが、スタートする時に思うことも人それぞれです。
①ディレクターになりたい
②プロデューサーになりたい
③やってみないとわからない
番組制作に携わっていくうちに、希望に反して向き不向きなどで方向性が決まってくることもあります。
そして段々とこのような考えや悩みが発生してきます。
「ディレクターに向いているかも?」
「プロデューサーに向いているかも?」
「何を目指したら良いのかわからない」
「ディレクターにもプロデューサーにもなりたくない」
番組制作者としての道を模索する機会はどこかで必ず訪れるようです。
ディレクターに向いている人とは?
番組ディレクターの仕事
ディレクターは制作現場の責任者で、番組制作の実務を担当します。
演出とも言われ、情報収集や取材をし、台本も書きます。カメラを担いで撮影したり、VTRの構成や編集、音響効果も手掛けます。
詳しくは「マスコミ業界を知る」まで!
こんな人が向いている
・映像が好き
テレビや映画、CMに至るまで、幅広いジャンルの映像にアンテナを張っている。何が面白くてつまらないのか常に研究している。
・体力がある
長時間に渡る撮影やロケ、連日の徹夜で仕上げる編集作業、深夜0時から始まる番組会議・・・etc 不規則でハードな毎日を耐え抜く体力は必須。
・精神力が強い
思い描く番組を作る為、スタッフ・出演者・一般人など数多くの人にリーダーシップを発揮し、思い通りにならないことも押しのけるほどの圧。
その他、撮影技術や編集技術の向上を図る方や決断力のある方、流行に敏感な方など色々とありますが、上記3つは特に必要な要素かと思います。
プロデューサーに向いている人とは?
プロデューサーの仕事
番組制作における最高責任者です。
番組の企画立案・プレゼンテーション、予算組み、制作費の管理など、幅広い仕事をします。
詳しくは「マスコミ業界を知る」まで!
こんな人が向いている
・お金の使い方が上手い
スタッフの人件費、出演者のギャラなどの制作費の管理。制作資金を集める為にスポンサーなどとの交渉も。
・マネージメント能力が高い
スタッフや出演者、代理店、スポンサーなど多くの人をまとめます。やりたいことを実現する為に周りを動かします。
・責任感がある
視聴率が良くなかったり、番組内で不祥事があれば責任を取るのはプロデューサーです。コンプライアンスチェックも昨今重要課題です。
ディレクターにもプロデューサーにもなりたくない
テレビ番組制作の世界は、ディレクターとプロデューサーだけで成り立っているわけではありません。
特に女性アシスタントディレクターで多いのは、制作デスクへの転向希望です。
制作デスクは、経費の精算処理やスケジュール管理、電話対応など、番組制作においてのバックオフィス的なポジションです。
比較的、休みもごく一般的に取ることが出来、残業も毎日遅くまで、ということはありません。
体力の不安を感じて制作デスクを希望する方もいますが、ディレクターやプロデューサーを目指すことへの違和感を感じている方が多いような気がします。
☆こんな転向をしたアシスタントディレクターも!
・映像編集
・芸能マネージャー
・イベント企画制作
ハードワークを経験してきたアシスタントディレクター経験者は同業界・近しい業界での需要は案外高いのです!
これからは「何でも屋」だけが生き残る!?
番組制作会社の社長からこんな肩書が書かれた名刺を貰ったことがあります。
「代表取締役社長・プロデューサー・演出」
こんな風にたくさんのポジション名を名乗っている番組制作会社の社長やトップクリエイターはよく見かけます。
昨今、自分はディレクターだから、プロデューサーだからではなく、撮影~編集~企画~演出~プロデュースなど、番組制作のすべてをこなすオールマイティな方が求められてきています。
その中で、自分の得意(武器)を見つけ磨いていくことも番組制作の楽しさです。
アシスタントディレクターとしてスタートして、自分がどんな方向に進んでいくのか、楽しみの一つとして挑戦してもらえたらと思います。
《石川かおり》