芸能プロダクションに選ばれし人材
来年3月卒の大学生T君(22歳)は、芸能マネージャーを目指し就活真っ只中。
T君がキャリアトレインの就職サポートで来社したのは今から1年くらい前でした。
まだ大学3年生だったT君ですが、芸能プロダクションの情報を仕入れようと積極的に動いていたのです。
有名国立大学在学中のT君は優秀なのはもちろん、コミュニケーション能力抜群で何よりも話していて楽しい方です。
人と違うことをやってみたいと、様々な校外活動を経験してきました。
新卒採用選考では、大手芸能プロダクションの面接を順調に進んでいる状況です。
ただ・・・、第1志望であった某大手芸能プロダクションの最終選考で不採用になってしまいました。
そこでT君は自信喪失に近い衝撃を受けたのです。
5次選考となった最終選考は、さすがに猛者揃い。
最終選考まで進んだ学生達のエンタメ力に圧倒されてしまいました。
「劇団を主催し、定期的に公演活動を行っていました。創作活動はもちろん、集客~運営費用の調達まですべて取り仕切り~ほにゃらら」
「ニューヨークの○○○学校に留学し、エンタメ企業の仕組み~運営~今後の展望について~ほにゃらら」
「ヨーロッパの映画祭に学生○○として参加し~ほにゃらら」
在学中にエンタメに関するあらゆる活動を行ってきている学生ばかりなのです。
日本のエンタメ業界に関する知識は、好きだからこそ自然に身についているのがわかります。
「なぜ芸能プロダクションなのか?」が明らかな学生ばかりだったということです。
T君も相当な興味を持ってエンタメに触れてきたつもりでしたが、興味の度合いではT君を超える学生ばかりだったそうです。
まさに選ばれし者たち!芸能プロダクション採用倍率
◎有名芸能プロダクションの新卒採用人数
- ■株式会社アミューズ 8名(2015年度)
■株式会社レプロエンタテインメント 8名(2015年度)
■株式会社キューブ 4名(2015年度)
■株式会社ワタナベエンターテインメント 5名~9名(2016年度予定)
■吉本興業グループ 18名(2015年度)
新卒定期採用を行っている企業の多くは採用人数を増やす傾向にあります。
上記の企業も2015年度は例年よりも多かったとは言え、10名いかないくらいの採用人数がほとんどです。
1000人中1名採用という会社もあるようです。
しかも大手芸能プロダクションの場合、芸能マネージャー職ばかりではありません。
最近はWeb担当やシステム担当なども積極採用しています。
そもそも新卒採用を行っている芸能プロダクションはそれほど多くないのです。
大手芸能プロダクションだからと言って新卒採用しているとは限りません。
■株式会社スターダストプロモーション募集要項抜粋
■株式会社オスカープロモーションも新卒採用は積極的には行っていないようです。
採用される学生とは?
株式会社ホリプロでは従来の新卒採用に加えて、『AOプロ採用=あっと、驚く、プロフェッショナルの採用』という採用を2016年度は打ち出しました。
『AOプロ採用=あっと、驚く、プロフェッショナルの採用』とは?
今後も総合エンターテインメント企業として、夢や感動を提供し続けていくために「エンターテインメントビジネスに対する熱い想いがある方」「新たなことに チャレンジしてみたい方」「幅広く、色んなものに興味・関心のある方」「やると決めたら、とことん自分を追い込む方」など、様々な志向・経験を持った人材 が必要不可欠と考え『AOプロ採用』を実施。
また、スポーツ、学業、文化、技術、○○オタクなど、ジャンルを問わず、他者に抜きん出た努力で結果を出し、その過程で得た経験・知識・自信は、エンターテインメントの世界でも活かせるとの考えもあり“その道のプロフェッショナル”とも言える実績者を積極的に採用していく。
まさに冒頭でT君と最終選考で争った猛者学生たちと同じようなことです。
「芸能人と仕事がしたい」「人を支える仕事がしたい」という、ぼやっとした動機や、別に芸能マネージャーじゃなくてもいいじゃんと思えるような学生は必要としていないのです。
芸能マネージャーのメンタル力
7月6日放送の『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)を観ていたら、参考になる一場面がありました。
素人いじりが面白い番組ですが、その中で出っ歯の女の子が登場しました。
若くて可愛らしい女の子ですから、普通ならば恥ずかしがったり、隠そうとするのではないかと思います。
でも彼女は自ら出っ歯であることをネタにして周りの人たちを楽しませるのです。
そのサービス精神に驚かされ、ハートの強さ、前向きなところ、清々しさで溢れていました。
その女の子を見てマツコ・デラックスさんが言いました。
「この子、マネージャーにしたい!」
◎図々しいくらいがちょうどいい?
キャリアトレインの登録者で芸能マネージャーの方もいますが、皆さん一言でいうと“タフ”です。
体力的にももちろんですが、何を言われても凹んだ様子を見せないですし、変な言い方ですが、相手に受け入れられていないとわかっても無視して突き進んでいくような方達ばかりなのです。
芸能界じゃなければ引いちゃう人もいるかも知れません。
でも芸能マネージャーはそのくらいじゃなきゃやってられません。
芸能マネージャーの仕事は、制作会社等に自社のタレントを売り込みに行くわけですが、すべてがすんなりいきません。ベテランのマネージャーでも無下にされることも多々あるわけです。
強いメンタルは芸能マネージャーにはなくてはならないものです。
まとめ
新卒定期採用をやっていない芸能プロダクションがほとんどの中、大手芸能プロダクションしか目に入っていない学生は視野が狭いかも知れません。
本当に芸能マネージャーの仕事がしたいのであれば、幅を広げるべきかも知れませんよ。
また、中途入社でチャンスがあるのならば転職で目指すのも作戦です。
キャリアトレインからこれまでにこのような方たちが中途入社で転職成功しました。
□テレビ番組のアシスタントディレクター(AD)
□一般企業の営業職(不動産、建築会社、食品メーカー、アパレル等)
□接客販売職(百貨店、鉄道会社、飲食店等)
芸能マネージャーの仕事は、社会人経験が活きる職種なのです。
ただ、学校を卒業しただけでは社会人ではありません。
運転免許もない、パソコンが使えない、数ヶ月単位で仕事を変えている、テレビやエンタメに触れていない・・・。
これでは中途採用をする意味がありません。
芸能プロダクションの面接官を、納得・説得させられるような社会人経験を積む必要があるのです。
《石川かおり》