正社員の内定辞退!派遣社員としての働き方を積極的に選ぶ理由とは?
キャリアトレインの転職サポート経由で受けた会社に、“正社員”として採用されたのですが、辞退した登録者が何名かいました。
これまでにこのようなパターンはあまりなかったので、昨今の働き方の多様性や、若い世代の意識の変化を改めて考えさせられました。
なぜなら、辞退した登録者の方達は、すべて“派遣”での働き方を選択したからです。
そのなかの2名の例で言うと。
■Aさん(30歳)
芸能プロダクションに正社員で内定
↓
内定辞退
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派遣でしばらく働いてから正社員になりたい
辞退の背景:自分に合う会社なのかわからないので、いきなり正社員になるのは怖い
■Bさん(32歳)
番組制作のサポート職に正社員で内定
↓
内定辞退
↓
やりたい仕事も派遣で決まったので、そちらにいきたい
辞退の背景:雇用形態はあまり考えずにやりたい仕事をしたい
2名とも派遣で勤務をスタートさせましたが、『派遣3年ルール』もあまり理解していない様子でした。
派遣会社からは、「なるべく長く働いてもらいたい」と言われているそうで、3年以上働くことができる形態なのか、そうはいかないのか?
キャリアトレインのサポートからは離れてしまったので、2名が利用している派遣会社にお任せするしかないのですが、派遣スタート前にきちんと確認した方がよいことだと思います。
この方達のように、派遣社員としての働き方を選ぶには様々な理由があります。
派遣社員を選ぶ理由
派遣社員という働き方を“積極的”に選ぶ理由として、以下のようなことが挙げられます。
○やりたいことを仕事にしたら、それがたまたま派遣の形態だった
○自分の都合に合わせて働くことができるから
○状況に合わせて労働条件の交渉ができるから
○実力があれば、なんでもかなう業態だから
○技術者派遣など、将来展望に幅がある
○正社員よりも報酬面で条件が良いから
○専門性のある需要の高い職業だから
派遣という働き方は、自由度が高いだけではなく、まさにジョブ型雇用(仕事に人をつける働き方)であり、業務の内容が明確で専門性を活かせる働き方です。
そうでなくては本来いけないものとも言えます。
だからこそ、担当する仕事の範囲内での成果も求められます。
ノルマがあるとかそういったことではなく、例えば事務職ならば、任せられた業務を確実に終えることなどが成果です。
自分の仕事をきちんとこなせる方にとっては、派遣社員は働きやすいと受け止めることができるかもしれません。
派遣から正社員への険しい道
一方で、長らく派遣社員として働いてきて、年齢を重ねた今、正社員として転職できずに苦しんでいる登録者もいます。
いわゆる、1975年から1985年ごろに生まれの『就職氷河期世代』の方達です。
だいたい、30代後半から40代の方が該当します。
この世代は思うような就職ができず、派遣社員などの非正規雇用で働くことを選択せざるを得なかったという方もいます。
派遣社員と言っても、それなりの経歴を積んできた方も目立ちます。
同じ業務を正社員として行ってきた方とどう違うのか、一見すると差などないように感じます。
仕事はできる、スキルもある、うまくやれるはず、そんな自負がある方がほとんどです。
それなのに、派遣社員での経歴をきちんと評価されないことがあるのです。
さらに、正社員採用への難関となる“年齢の壁”も問題となります。
なぜ、派遣社員での経歴が評価されないのか?
派遣元との雇用形態にもよりますが、職場や仕事が短期間で変わっていくことが多いのが派遣という働き方です。
正社員採用視点で見ると、『転職回数』と見られることがあります。
「派遣なんだからそういうもの」が通用しない、年齢なりのキャリアの蓄積を問われてしまうのです。
派遣社員として勤務しているすべての方に当てはまるお話しではありませんが、これまでの企業とのやり取りのなかで、派遣での経歴が評価されない、不利になってしまった例が本当にたくさんありました。
流されずに見極める必要性
今の時代、正社員だからオールオッケーなんて考え方をする方は少ないと思いますが、派遣社員から正社員になりたいという方は少なくても30%以上※いる現実はあります。
※「派遣労働は自由な働き方なのか 転換期のなかの課題と展望」大槻 奈巳(編著)より
その理由は、やはり「不安定だから」という理由がほとんどで、年齢を重ねるほど不安が募る傾向が見えます。
派遣社員として働くなかで、なるべく早い段階で自分の道を見つけるようにする必要があります。
派遣社員に限らずですが、自分のキャリアを常に自覚し、見直していくことは重要なことです。
派遣社員としてのメリットばかりに目が向き、流されていくのは危険です。
多様な働き方があるなかで、派遣社員として生き生きと働き続けることもひとつの道です。
また、働くことばかりが人生ではないので、派遣という働き方がぴったりはまる方もたくさんいると思います。
ただ、キャリア・将来展望に目を向けたとき、より良い選択肢があるのであれば、早いうちから考えることをお勧めします。
<石川かおり>