総務から通達!?変わるテレビ業界の労務管理

2017年5月29日

くつろぐ女子

制作している番組のほとんどがゴールデン番組、しかも数が多いことから、かねてよりハードワークで知られていた番組制作会社A社。

数か月ぶりにお邪魔して人事部の方と話をして驚いたのは、「今、うちは週休1日以上を徹底しているんです。」

アシスタントディレクター(AD)の休みや勤務時間は特に徹底して管理・指導しているという、、、

アシスタントディレクターは、ディレクターやプロデューサーの指示で動くポジションなので、自分の裁量だけで勤務時間や休みを調整することが出来ません。

上が意識して労務管理しないと、例え自分の仕事にキリがついても、誰かの都合に振り回されて、「帰れない・休めない」状態になってしまいます。

A社に限らず番組制作会社はどこも同じようなもので、【社員が居つかない=人手不足】が常態化し、今に至ります。

それがイマ、変わろうとしているのです!

テレビ業界(番組制作会社)も動き出した!?

2017年5月10日より、厚生労働省はブラック企業(長時間労働等の労働関係法令違反で送検された企業)をネット上で公表することを始めました。

長時間労働の問題は、日本の大きな課題として度々取り上げられています。

様々な企業が改善に向けて動いている中、テレビ業界(番組制作会社)だけが例外とするのはもう無理があります。

テレビ業界の性質から、「休めるわけがない、帰れるわけがない、終わるわけがない」と言い続けてきましたが、何も対策を講じない企業は若い方達にそっぽ向かれること必至です。

実際に、A社のような改善意識を持った番組制作会社は続々と登場してきています。

■創業40年超の老舗番組制作会社の場合

毎週日曜休み

■社員数30名の某番組制作会社の場合

完全週休2日制(土日)
※土日出勤の場合は平日に代休あり

■スタッフ派遣中心の番組制作会社の場合

週休2日制(シフト制)

どこも書面上だけの休日設定ではなく、徹底して社員の労務を管理しているそうです。

もちろん、通常の休日に加えて、祝日、夏季休暇、年末年始休暇、有給休暇、慶弔休暇等もあります。

休日だけではなく、残業時間もチェックしており、残業時間が多い社員には総務部から通達することも多々あるそうです。

このように徹底して労務管理に取り組めていない番組制作会社もまだまだありますが、そこで働く社員の皆さんに実態を聞いてみました。

意外に休める!?アシスタントディレクター

■アシスタントディレクター(1年目)

担当する番組にもよるが、週に2日は休めている。週1日放送があるレギュラー番組に加えて、特番の制作がある時期は月に1~2日くらいしか休めないが、落ち着いた頃に順番でまとめて休みを取っている。

■アシスタントディレクター(2年目)

月曜から金曜に放送している帯番組(情報番組)を担当。月曜の放送回を担当しているので、何もなければ放送翌日の火曜は休み。その他、状況次第でもう1日休みを取ることがほとんど。

ちなみに、映像編集スタジオ(ポストプロダクション)では?

■編集アシスタント(入社1年半)

シフト制で週に1日は休み。それに加えて徹夜明けが休み(明け休み)になる。勤務時間もスタジオに入る時間で決まっているので、残業はほぼない。番組によっては、編集作業が終わるまでは数日間連続で働き、番組完成後にまとめて休みをとるということもある。

「選ばれる企業」になるために

『元ADが語る業界残酷物語』(2010年5月)っていう本が出版されたのは7年前。
『ハイパーブラックなテレビ業界』(2013年6月)なんていう投稿がネットを駆け巡ったのも4年前。

ここ数年の間にテレビ業界の労働環境は明らかに変化を見せています。

繁忙期は、どんな業界でも長めの残業や休日出社が発生することはあります。

そんな時は、まとめて休みを取ったり、どこかで帳尻を合わせようとします。

1年中休みなく働き詰めということはテレビ業界でも目立って聞かなくなりました。

それに、そんな労働環境の企業を若者は選びません。

テレビ業界を目指す若い方達が、きちんと考えている番組制作会社を選択できるよう、これからの動きに注目していきたいと思います。

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≪石川かおり≫

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