テレビ番組制作アシスタントディレクターの給与明細
「テレビ番組のアシスタントディレクター(AD)の仕事に興味があるけど、激務でお給料が少ないって言う話しばっかり・・・。」
「やる気はあるけど、一人暮らしで生活が出来るのか正直不安。」
番組ADについて、ネットあたりでちょっと調べようものなら、地方から上京して番組制作の世界に飛び込む方や、初めての就職や一人暮らしになる方が不安に思ってしまうようなことばかり溢れています。
ほとんどのテレビ番組ADは、番組制作会社や派遣会社の社員(正社員・契約社員)です。
番組制作会社や派遣会社はADを社員として雇うからには、まさかどんぶり勘定で給与を支給するわけでもなく、賃金規定と言うものがあります。
社員が生活していけないレベルの給与条件では、会社としての存続も難しいと思います。
それでは実際に、年齢や経験年数の違うAD3名の給与明細をご紹介します。
AD1年目23歳女性の場合/2014年度新卒(4大卒)《正社員》
◎基本給191,940円
◎社会保険料38,885円
◎通勤交通費(精算金)9,060円
◎所得税3,120円
手取り158,995円/月
◎賞与(初年度は1回)191,940
年収 約250万円
2015年4月1日より昇給!基本給が20万円になったそうです。
AD2年目23歳女性の場合/映像系専門学校卒《1年間契約社員⇒正社員》
◎基本給164,000円
◎みなし残業代36,000円
◎社会保険料28,486円
◎所得税3,770円
◎通勤交通費8,440円
手取り176,184円/月
◎賞与(夏・冬)328,000円
年収 約283万円
この方の会社はパソコン、携帯電話が支給されています。
4年目チーフAD28歳男性の場合/24歳の時に中途入社《正社員》
◎基本給280,000円
◎社会保険料41,166円
◎所得税4,490円
◎通勤交通費15,780円
手取り250,124円/月
◎賞与(夏・冬)560,000円
年収 約400万円
24歳で中途入社した際の給与は、20歳の未経験者とまったく同額でした。
1年2年3年・・・チーフADとなり、毎年昇給したそうです。
ADに残業代という概念はない!?
大きな声では言えませんが・・・、ADには残業代は支給されません。
ADだけではなく、テレビ業界全体で残業代を100%支給している会社は多くありません。
基本給に含まれるか、みなし残業とするか、良いところで一律手当がつくか。
賞与で残業代分を少しでも反映させる会社は案外あります。
上記の給与明細を見ると、「そんなに悪くないじゃん」「賞与も出てるし」と思うかも知れません。
ただ、残業時間を考えると、確実に割りに合いません。
ADは時給に換算すると、そこいらのバイトよりも低賃金だと言われています。
売れっ子ディレクターや一流クリエイターならばともかく、「お金を稼ぎたい」と考えて入ってくる業界では今はなくなっています。
目標は高く持つのは当たり前ですが、最初のうちの現実は知っておいた方が良いかと思います。
ただ、某番組制作会社の社長(40代)がおっしゃっていたのですが、社長は同級生よりもよっぽど稼いでいるそうです。
ディレクター~プロデューサーと上がるうちに、いつしか先輩たちも超えたそうです。
年功序列ではない世界だからこそ実力勝負が出来るというわけです。
目先のことだけを考えると「やってらんねぇ」と思うかも知れません。
個人の価値観の問題にもなります。
好きなことをやって得る収入にどのくらい価値を見出せるでしょうか。
《石川かおり》