職場で仲良くする必要はない!?仕事で得られる報酬はお金だけじゃない
まだ会社ができてから数年の某映像制作会社でこんなお話しがありました。
20代前半のアシストディレクター(AD)が、何の前触れもなしに退職を申し出ました。
理由はそうハッキリしたものではないのですが、会社としては下記のように解釈しました。
「年上しかいない職場なので気軽に話せず、相談しづらかった」
「会社の中で何となく孤立してしまった」
「気の合う仕事仲間がいる会社がいい」
この映像制作会社の年齢層は20代後半~30代で、20代前半の社員はこの方ひとりでした。
また、アシスタント職の社員もひとりだけで、同じ立場で相談できる方がいない状態でした。
未経験で映像制作の仕事に就き、不安も多い中で、気軽に話せる仲間が職場にいなかったことでモチベーションが下がってしまったのです。
しかし、この映像制作会社では、「職場で社員同士が仲良くする必要はない」という考えが強く、ADさんの退職には納得がいっていない様子でした。
「仲の良い人がいないから辞める」という退職理由を肯定するわけではありませんが、退職理由のひとつとして決しておかしなことではありません。
職場における社員同士の「仲が良い」とは、学生時代のクラスメートやサークルとは異なります。
同期や社歴が近い仲間ならば、切磋琢磨する間柄として仲良くなることで仕事に反映されるはずです。
「職場の仲間と仲良くする必要があるか、ないか」ということについては、人それぞれ色々な考えがあります。
職場の仲間と仲良くする必要があるか?
■必要派
「せっかく仕事を一緒にするのだから仲良くしたい」
「仲の良い人がいれば何かと助けてもらえる」
「苦手な人と仲良くする必要はないけど、一人くらい話せる人がほしい」
■必要じゃない派
「会社には仕事をしに行っているわけで、遊びや友人を作りに行ってるわけではない」
「職場以外の場所で居場所があればいい」
「これまで仕事上で仲良くしなかったことが理由で何か問題が起きたことはない」
職場での人間関係は度が過ぎると面倒なものです。
なにもプライベートまで職場の人たちと関わる必要はありませんが、毎日8時間以上過ごす場所で気楽に話せる仲間がいないのも寂しいものです。
ギャラップ社(アメリカで最も規模が大きく、権威があるとされる世論調査)がアメリカで行なった調査によると、「職場に仲の良い社員がいる人は満足度が著しく高い」という結果が出ました。
職種にもよるかと思いますが、職場に仲の良い社員がいることで仕事へのモチベーションや満足度に繋がることがわかっています。
人事制度コンサルティング会社の壺中天によると、報酬には「外的報酬」と「内的報酬」があります。
〇外的報酬とは
昇給、賞与、昇進昇格などの、報酬制度を通じて与えられるもの。〇内的報酬とは
成長、やりがい、充実感などの、そもそも仕事のなかに組み込まれた主に精神的な報酬。
職場の仲間や仕事で知り合った人たちとの人間関係から得られた社会的満足など。これが満足につながります。
仕事で得られる【報酬】をもう少し広い視点で見てみると、人間関係で得られる報酬もまんざらではないようです。
もっとやりがいを感じることができるかもしれません。
だからと言って、みんなに好かれようとしたり、無理して仲良くなろうとする必要はありません。
ちょっとした雑談でクスっと笑えたり、上司の悪口をチラっと言い合えたり、それだけでも救われることがあると私の経験上は思います。
<石川かおり>