求人企業が経験者(即戦力)採用に期待すること
元ソフトバンク社員が楽天モバイルに転職する際、機密情報を「手土産」にした情報流出事件が話題になりましたが、こういった話はこれまでにもたくさんありました。
秘密保持義務や競業避止義務は就業規則に書かれていたり、誓約書にサインさせるなど、企業としても対策は取っているのですが、元従業員による情報流出は後を絶ちません。
マスコミ・エンタメ業界でも同業他社へ従業員が転職する場合、約束ごとを交わすこともあります。
〇某芸能プロダクション
所属タレントの個人情報の漏洩や利用の禁止。
〇某大手映像制作会社
映像素材やデータ等の資料の持ち出し厳禁。
〇某エンターテインメント企業
業務上で知り得た企業秘密の守秘義務。
中には前職で付き合いのあったクライアントとの接触を禁ずる企業や、どんな作品に携わっていたのかも口外禁止とする企業もありました。
「情報」がどこまで企業の利益に反映してくるのか程度にもよりますが、条件の良い転職を成功させる為、自分のこれまでの知識や経験を活用して次の仕事を選ぶのは自然なことではあります。
常識の範囲内ならばともかく、あまりにも従業員の未来を阻害するような約束ごとは、結局守らない方向になってしまうのが現実です。
企業が経験者に期待すること
機密情報を持ち出すことを同業からの転職者に期待している企業はあまりありません。
倫理観を問うようなダークなことではなく、同業他社や職種経験者(即戦力)の採用で期待することがあります。
・前職で培ったスキルやノウハウの発揮
・外部の視点からの新しい着眼点
・業界や職種への知識
・既存社員への刺激
・社内制度やシステムに関する指摘
マスコミ・エンタメ業界では例えばこんな即戦力が求められることがあります。
■テレビ番組制作のプロデューサー
どこのテレビ局、どのようなところ、どういう人に話を持っていけるか。
プロデューサーは番組制作における営業のような役割もあるので、どういったクライアントと仕事をしていたのかがポイントとなります。
■テレビ番組制作のアシスタントディレクター(AD)
番組制作の過程でどこまでの部分に携わっていたか。
編集作業はどこまでできるか、どういったやり方をしていて応用が利くかがポイントとなります。
■芸能プロダクションのマネージャー
営業先はどのあたりになるのか、人脈の範囲が採用のポイントとなります。
同じマネージャー職でも、アーティストなのか、役者なのかなど、担当していたジャンル違うと難しいケースもあります。
逆に即戦力採用で2大ガッカリがあります。
①コミュニケーション能力が乏しい
②前職のやり方・成功にこだわる
いくら同じ業界や職種の経験者で即戦力になり得ようとも、この2つは大きなマイナスでしかありません。
機密情報の「手土産」などなくても、経験者(即戦力)としてアピールできることはたくさんあります。
経験者だからこそ、より良いアピール方法を一緒に考えていけたらと思います。
<石川かおり>