とんだ誤解!マスコミ・エンタメ業界の“有限会社”

2017年1月23日

色々ある会社

キャリアトレインの就職・転職サポート面談で、テレビ番組の制作希望の男性(23歳)にどういう基準で会社選びをしているのか聞いたところ、意外な?ことに拘りがあることがわかりました。

「親に有限会社だけは止めた方が良いって言われてまして、、、」

“株式会社”ならどこでも良いのかって話ですが(汗)、なぜ“有限会社”ではダメなのでしょうか?

この方曰く、有限会社は「安定していない」「倒産しそう」「規模が小さい」というイメージがあるそうです。

親御さんはそういう有限会社とたまたま出会ったことがあるのかも知れませんね。

ただ、番組制作の世界に飛び込もうとしている方には、はっきり言って株式会社だろうが有限会社だろうが関係ありません。

もっと他に気にするべき点はたくさんあります。

まずは、有限会社に関して正しく理解してみましょう。

有限会社とは?

有限会社と株式会社の設立には主に以下のような違いがあります。

①資本金が300万円以上であること(株式会社は1000万円以上)
②取締役は1名でOK(株式会社は取締役3名、監査役1名最低でも必要)
③取締役の法定任期は制限なし(株式会社は2年以内)

比較的容易に設立出来るのは有限会社だということがわかります。

しかし、2006年5月1日に新会社法が施行され、有限会社と株式会社の違いはほぼなくなりました。

最低資本金制度と取締役の人数制限がなくなり、会社設立には、、、

①資本金1円でもOK
②取締役1人でOK

ちなみに新会社法により新たな有限会社は作ることが出来なくなったので、2006年5月1日以降に作られた会社はすべて株式会社です。※合名会社と合資会社もある。

有限会社のメリット・デメリット

以上のことから有限会社は2006年5月1日以前に作られた会社だということがわかりますが、現在有限会社を名乗っている会社はそのままにしているということですね。

別に強制的に株式会社にしなければならないわけではないですし、そのままでいることはその会社にとって何ら問題がないということです。

ただ、中には有限会社から株式会社に変更した会社もあります。

有限会社のままでいるメリット・デメリットは何でしょうか?

メリット

・役員に任期がない(役員変更の届出が不要)
・決算公告のの義務がない
・長く続いている会社であるとわかる

デメリット

・公開会社になれない(上場会社になれない)
・会計参与が設置出来ないので銀行から融資を受ける際に手こずる可能性がある
・有限会社へのマイナスイメージがつきまとう

エンタメ業界には有限会社が多い!?

キャリアトレインが守備範囲とする業種で、どこが有限会社率が高いのか調べてみました。

■映像制作会社 8%
■芸能プロダクション 25%
■アニメ制作会社 40%

番組を制作したり、芸能人をマネージメントしたり、大きくその業態が変わらない会社は特段株式会社である必要もやはりないのです。

私の知る限りですが、マスコミ・エンタメ業界の会社で、有限会社より規模が小さい株式会社もたくさん知っています。

どちらにしても専門性を持って事業を行っているのがマスコミ・エンタメ業界の会社です。

安定していて決して潰れない“株式会社”が奇跡的にあったとして、そこに入った自分はどうなのか?

使えない社員でも確かにそんな素敵な会社があったなら寄生し続けることは出来るかも知れませんね。

会社の規模や力によるバックアップは時には必要かも知れませんが、マスコミ・エンタメ業界で大切なのは個人の力です。

挑戦したい仕事を選択する際、有限会社だから戸惑うのは意味がないことがわかっていただけましたでしょうか。

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《石川かおり》

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