《若者雇用促進法》マスコミ業界は求人が出せなくなる!?

2016年10月31日

残業代明記義務

テレビ番組の制作職を志望している求職者(登録者)に、キャリアトレインの就職・転職サポート面談で詳しくお話させて頂くと、10人に1人くらいの割合で「やっぱり私には無理です」という方がいます。

あっさりと引いていってしまう原因は、【休日】と【勤務時間】についてが主です。

面談時間は1時間程度を予定しているのですが、テレビ番組制作職の勤務実態をお話した途端に終了です。

テレビ番組制作職は、「週休2日で残業はたまに」という世界ではないことは少し調べればわかることですが、求職者(登録者)の想像を超えてしまったのでしょう。

テレビやイベント、芸能、出版などのマスコミやクリエイティブ業界で働く方達は、誰に強制されるわけでもなく、自発的に休みを惜しんで働くことがあります。

「〇〇待ちで帰れない」「今日中に準備しなければならない」など、非効率であったり、仕事量の多さなど、致し方なく時間に追われることも多々ありますが、その先には、「良いものをつくりたい」「自分にはこういう目標がある」というクリエイターとしての志や覚悟を持っている方がほとんどです。

そして、休日を返上しようが徹夜で働こうが、その分の手当の支給などないところがほとんどなのです。

しかし、時代の流れはいよいよマスコミ・クリエイティブ業界にも無関係ではいられなくなってきました。

残業代を明記しなければ求人もかけられない!?

『改正青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)』により、2016年12月1日から固定残業代に関して適正な表示のない企業の求人広告掲載は出来なくなります。

①固定残業代の金額
②その金額に充当する労働時間数
③固定残業代を超える労働を行った場合は追加支給する旨

この3点の記載がない求人広告は、リクルートやマイナビなどの一般的な求人広告媒体では“拒否”される対象となります。

全国求人情報協会のルールですので。

固定残業代とは、「みなし残業」とも言われています。

月給に残業代を固定で支給されるものです。

残業をしてもしなくても、貰えるのが固定残業代です。

若者雇用促進法にのっとった給与の掲載は下記のようになります。

例① 給与/月給250,000円以上※固定残業代(38,000円、20時間相当分)含む。20時間超過分は別途支給。

例② 給与/月給250,000円以上(固定残業代含む)※固定残業代は20時間分38,000円、時間超過分は追加支給

例③ 給与/月給250,000円以上(固定残業代38,000円含む)※時間外手当は、時間外労働の有無にかかわらず20時間分を固定残業代として支給。20時間を超える時間外労働は追加で支給

出典:公益社団法人全国求人情報協会

クリエイティブ業界でここまで明確に給与記載が出来る企業がどれだけあるでしょうか?

マスコミ・クリエイティブ業界も改革中

ハードワークな業界だと知れ渡っているマスコミ・クリエイティブ業界。

ただでさえ、志望者がダダ減りしている中で求人広告が出せなくなったらどうするんですか!

人が足りない→現スタッフが疲弊する→退職者続発→人がまったくいなくなる→・・・!?

こういうのを「人的倒産リスク」なんて言うそうです。

これまでと何も変わらない、変えられないようでは悪循環を断ち切ることは出来ません。

そこのところを真剣に考えているマスコミ・クリエイティブ企業は次々と登場してきています。

例えば番組制作会社では下記のような企業を最近よく見聞きします。

・週1日以上の休み
・休日出勤手当支給
・徹夜禁止
・月60時間を超える残業には手当支給

社長や人事総務、上長、先輩ディレクター主導で徹底しています。

「テレビの世界は仕方がない」
「クリエイターなんだから当たり前」

先日お会いした某番組制作会社の社長は、こんな考え方はあり得ないと言い切っていました。

マスコミ・クリエイティブ業界も確実に意識改革は進行中です!

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《石川かおり》

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