“ミーハー”がエンタメ業界の採用条件!?
「40人のタレントの顔写真を見せて、名前を当てるテストを行います。どれだけ「ミーハー」か、ぜひアピールしてください。」
こんな採用基準を設けているキャスティング会社の求人広告を目にしました。
なるほど、まさにキャスティングの仕事をする上で的を得ています。
CMなどでイメージに合う出演者を提案する仕事のキャスティング会社だからこそ、旬のタレントや俳優、スポーツ選手などを知らなければ話になりません。
キャスティング会社だけではなく、映像制作会社や芸能プロダクション、イベント企画制作会社などでも同じです。
“ミーハー”というのでしょうか、有名人や話題の人に興味を持ち、常にアンテナを張っている必要があります。
そう、“ミーハー”であることが褒められるべき仕事なのです。
タレントに会いたいから入社した
テレビ業界の第一線で活躍しているディレクターやプロデューサーからこんな話を聞いたことがあります。
■番組ディレクターNさん
Nさんは日本テレビの夜帯で放送されている某人気バラエティ番組のディレクターとして活躍しています。時々テレビにも登場するほど、有名なテレビマンでもあります。映像系の専門学校を卒業して、現在も所属している番組制作会社に入社したのですが、志望動機は「当時大人気だった芸人さんに会いたかった」からだと言うのです。そして見事にその芸人さんと一緒に仕事もしているので、夢が叶っているというわけです。
■番組プロデューサーKさん
Kさんは少し前まで某音楽番組のプロデューサーとして活躍していました。現在は会社の役員として、制作の現場からは遠のいているのですが、新人の頃から音楽番組一筋できた方です。それはまさにKさんがテレビ業界に入る目的だったからです。「音楽が好きだから」と言うのはもちろんなのですが、何よりも某人気アイドルと一緒に仕事をするのが目標だったのです。アイドルは一人ではなく、あらゆるアイドルグループが好きで、知識では右に出る者はいない!?と豪語していました。
この他にも、タレントや俳優、スポーツ番組を制作している方は有名アスリートなど、「○○さんに会いたい!」という理由で現在の仕事に就いたという方は結構います。
先日お会いしたアシスタントディレクター2年目のTさんは、6月に某人気タレントと海外ロケに行ったそうで、物凄く楽しそうに話していました。
そういえば、4月に番組制作会社に入社した新卒のAD君は、担当している番組に出演している吉本興行の芸人さん達の飲み会に誘われたと喜んでいました。
やりたいことは後から見付かった
上記でご紹介したNさんもKさんも、志望動機こそミーハー心でしたが、テレビ業界で確かな地位を築いてきました。
特にNさんは、結構厳しいディレクターとしても有名で、下につくアシスタントディレクター(AD)の成長は著しいものがあります。
それだけ番組制作に対して真摯な気持ちで取り組み、Nさんが考える仕事への取り組み方は筋が通っています。
ただ、「テレビ業界でどうなりたいのか」「どのような番組を作っていきたいのか」、などの目標が明確になったのは入社して3年目くらいの時だったそうです。
それまでは与えられた仕事をこなすのに精一杯で、「やりたいこと」なんて考えている余裕もなかったそうです。
だんだん、人に楽しんでもらえることの喜びに気付くことが出来て、自分のアイディアが少しづつ採用してもらえることが楽しくなったそうなのです。
きっかけは何でも良くて、大事なのは自分で決めた道をどう進んで行くのかということなのですね。
好奇心旺盛が必須条件
タレントや有名人に限らず、何にでも興味を持つことはエンターテインメント発信者であるならば必要なことです。
例えば、先日行われたFIFAワールドカップでも、“にわか”で結構。
「サッカー興味ないから」なんて言って、話題についていけないようでは業界人ではありません。
自分がこれまでやったことがないこと、知らないことでも興味を持って触れてみる。
何にでも好奇心旺盛であることが、エンターテインメント業界での向き不向きに繋がるのかも知れません。
≪石川かおり≫