デリケートな採用時のレファレンスチェック

2018年5月14日

reference

10数年のお付き合いがある某大手企業A社が、採用選考の際に行っていた【レファレンスチェック】を廃止することになりました。

■レファレンスチェックとは?
レファレンス(reference)=参考、参照、照合
採用する企業が求職者の同意を得た上で、前職へ求職者の人柄や職務経験、退職理由などを確認すること。

求職者の能力や働きぶりを知る為に行うものですがが、中には求職者の経歴や勤務状況に嘘がないかを調べる側面もあります。

求職者にレファレンス先の連絡先(電話・メール)と誰宛に確認すれば良いのかを聞き、人事担当者または専門の会社に依頼して実施します。

≪レファレンス質問内容例≫
・仕事をした期間(在籍確認)
・応募者の業務内容
・応募者の人物像

以前、A社の選考ステップは以下となっていました。

書類選考⇒一次面接(人事・部署責任者)⇒最終面接(役員)⇒適性検査⇒健康診断⇒レファレンス⇒内定

ほぼ内定前提で、在籍確認が目的のレファレンスではありました。

そのレファレンスを廃止した理由は、大きく2つあるそうです。

①個人情報保護

元(現)社員の個人情報を保護する為、レファレンスを拒否する企業もあります。本当に採用の為の確認なのか確かめようもなく、詐欺行為による社員データ流出の危険もあります。また、本人の同意を確認することも難しく、規定によりレファレンスには応じないという会社は近年増えてきた現象です。

②求職者の拒否反応

やましいことはないとは言え、前職の会社に確認されることを快く思わない求職者もいます。現職の会社にレファレンスを取らないにしても、同業他社だったりすると巡り巡って転職活動を行っていることが職場に知られてしまうこともあります。何となく、嫌だなと思わせることで採用機会を逸したくないとA社は考えました。

芸能プロダクションの身辺調査

【レファレンス】から【身辺調査】と言い換えるといきなり怖い響きになります。

上記のA社のような理由で、レファレンスチェックを廃止する企業は近年増えていますが、金融機関や警備会社などの信用第一の業界ではまだ健在です。

そういった業界は昔からレファレンスチェックなどとは言わず、もっと入念な入社前調査(身辺調査)を行っています。

興信所に委託して、金銭面(借金の有無)や前科、家族についてなど、社員として受け入れ可能な人材かどうかをチェックします。

公にはしませんが、エンターテインメント業界では、特に芸能プロダクションなどがこのような調査を行っているところが多いようです。

タレントと接する芸能マネージャーなどは、マネージャー自身に何か問題があればタレントのイメージ失墜にもなりかねません。

人材紹介会社のレファレンス

人材紹介会社は、求人企業(クライアント)から求職者の信用度を求められるのですが、キャリアトレインでは実際にレファレンスを取るようなことはしていません。

例えば候補者の勤務先に共通の知り合いが居ようとも、「〇〇さんって?」なんて聞くことはNGだと考えています。

基本的には、求職者(登録者)から提出された履歴書と職務経歴書を信用するしかないのです。

登録面談でその信ぴょう性に違和感を感じたら、候補者と一緒に良い方向に進めていくことを考えるしかありません。

候補者を信用した結果、見事に裏切られたこともあります・・・。

・4年間小学校の教員だった  ⇒実際には1年間のみ
・借金大王だった      ⇒履歴書に当然書きませんし
・前職でバックレている   ⇒同業他社ならすぐに耳に入ってきます
・盗撮の前科があった    ⇒タレントクロークに侵入未遂が!

この方達は全員嫌な辞め方をしているので後日談として発覚しました。

皆さん、採用選考の際にレファレンスチェックがあると聞いていたらどうしたのでしょう。

過去は変えられませんが、嘘をついてごまかすよりも、新たな会社で再スタートを切る為にもっと良い方法があったのではないかと思えて仕方ありません。

≪石川かおり≫

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