2012年10月派遣法改正で 派遣スタッフを受け入れている会社は何をすれば良いか

2012年11月16日

派遣会社や、派遣スタッフとして働く方はもとより、派遣社員を受け入れている派遣先企業も、10月1日から派遣法改正法が施行されたことは何となく耳に入っていることと思います。

派遣法改正法パンフレット

派遣法の改正によって、派遣の規制は厳しくなってきています。

2015年には、違法状態の派遣スタッフを受け入れている企業は、そのスタッフを直接雇用しなくてはならない(直接雇用の申し込みをしたものとみなす)、という改正点も施行されます。

派遣会社がスタッフや派遣先企業に対し、派遣法を正しく伝えていくべきであることはもちろんですが、今まで派遣の規制について、派遣会社任せにしていた “派遣スタッフを受け入れている企業”  も、派遣法を理解しておくことは必要不可欠になります。

 

≪では10月施行の改正で、派遣先企業は何をすれば良いのか。≫

 

派遣スタッフを受け入れている事業所は、以下を確認しておきましょう。

 

【30日以内の短期の派遣契約ができなくなりました】

日雇い派遣をはじめ、派遣期間が30日以内の超短期の派遣契約はできなくなりました。

ただし、例外業務の場合や、スタッフが学生や主婦or主夫(世帯収入500万円以上)の場合、副業として働いている(本業で500万円以上の収入がある)場合や、60歳以上の場合は超短期の派遣ができるので、派遣会社に確認してください。

ADやディレクターなどの放送番組の制作スタッフや、編集マンなどの技術スタッフの場合も、超短期の派遣契約ができません。
日雇派遣は禁止ですが、日雇労働を禁止しているわけではありませんので、短期アルバイトなど、直接雇用することを検討しなくてはなりません。

 

 

【離職して1年以内の“元社員”を派遣スタッフとして受け入れてはいけません】

自社の社員として高い条件で雇用していた人を離職させ、派遣会社に所属させて、社員時代より低い条件で働かせることができてしまったら・・・。

そんな方法で労働条件を下げることが無いよう、改正に盛り込まれました。

60歳以上の定年退職者は例外です。

 

 

【自社の都合で派遣契約を中途解除する場合の措置の内容を、決めておかなくてはなりません】

派遣契約を中途解除した場合、今までは派遣会社のみがスタッフの休業手当を全額負担したり、新たな就業先を探したりというケースがほとんどでした。

これからは派遣先も派遣スタッフの生活を保障する意識を持ち、解除の場合にはどういう対応をするのか、派遣契約の際に明記しなくてはなりません。

 

 

【自社の賃金水準などについて派遣会社から情報を求められたら、情報提供しましょう】

例えば同じ職場で、同じような内容や業務量の仕事をしているのに、自社の社員だと月給30万円、派遣スタッフだと18万円、というケースのように、賃金水準があまりにかけ離れている状態は解消しなくてはなりません。

派遣会社はスタッフの賃金など労働条件を決める際、派遣先の従業員の労働条件に配慮にして決めるようにする、という改正点があるため、派遣会社から賃金などの情報提供を求められるかもしれません。
情報を求められた場合は、協力するよう努力しなくてはなりません。

 

他にも、今回の改正で、派遣会社はマージン率の公開をしなくてはならない、同一グループ内企業への派遣は8割以下にする、など規制が厳しくなりましたが、派遣先企業は、まずは上記のポイントをしっかり頭に入れておいてください。

2008年のいわゆる“派遣切り”が大問題になって以降、派遣会社や派遣スタッフの数が少なくなってきたとは言え、2012年4月~6月期の総務省の労働力調査では、派遣労働者数は81万人という数字が出ています。
ということは、派遣先事業所の数も相当数あるということです。

派遣先企業が正しい派遣スタッフの受け入れ方をすること、その意識を持つことが、大変重要になってきていると思います。
 

 (社会保険労務士 平倉聡子)

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