テレビ業界に入って早ウン年!?アシスタントディレクターの向こう側へ

2015年11月11日

寿司

ホリエモン「寿司職人が何年も修行するのはバカ」発言数か月で独り立ちの寿司はうまいか?

先日、こちらのニュースが話題となりました。
賛否ある内容ですが、いわゆる“お高いお寿司”と縁のない私には「賛」も「否」もありません。

ただ、ふとテレビ業界の構図と重ねて考えてしまいました。

番組制作の仕事における修行や下積み期間と言えば、その代表格が“アシスタントディレクター”です。
就職相談の場でも、未経験者から
「アシスタントディレクター(AD)の期間は何年ですか?」
「何年ADを経験すればディレクターになれますか?」
といった質問をたびたび受けます。
会社により、番組により、また個人の資質にもよりますので、もちろん一概には言えませんが、平均的に多いのは「3~5年」であるとお伝えしています。

アシスタントディレクター3~5年は本当に必要?

では「アシスタントディレクター」が「ディレクター」になるために、本当に3~5年と言う期間を要するものなのでしょうか。

テレビ業界を志望する未経験者の中には、アシスタントディレクターとしての期間を、
“番組制作の技術を学んだりスキルを身に付けるために必要な時間”
だと考える人が少なくありません。もちろんそう言った側面があるのも事実です。

ただ、本来アシスタントディレクターには“アシスタントディレクターの仕事”があります。
ひとりの「アシスタントディレクター」が「ディレクター」になるためには、誰かがその分の“アシスタントディレクターの仕事”を引き受けてくれなくてはなりません。

ディレクターへの近道とは

とある制作会社でかれこれ5年以上ADを続けている人がいます。
ディレクターからの信頼もそこそこ厚く、決して実力がないわけではないようです。
しかし彼はなかなかディレクターに昇進することが出来ません。
考えられる原因のひとつに「彼の元で後輩ADが育たない」と言うことがあるようです。

彼は自分の下に新人のADが就く度に、自分が抱えている雑用を丸投げしてしまいます。
また、右も左も分からない新人に対して業界の常識を押し付けてしまうところもあるようです。
結果として、新しく入ってきたADは、長く続ける事なく会社を(というより彼の元を)去っていきます。

「これだから新人は…」と考えたかどうかは分かりませんが、彼はまた当分ADの仕事を続けることとなり、結局は自分の首を絞めてしまったことになります。

負のスパイラル

「ADの仕事、雑用が多すぎて辛い」

後輩ができる

「やったー!雑用全部やらせちゃおう」

後輩が辞める

「結局また雑用全部やる羽目に・・」

こう言った負のスパイラルを断ち切ることは、ディレクター昇進への近道のひとつと言えます。

番組制作のスキルは学校で学べる?

映像制作や番組制作を学べる専門学校や大学のゼミは数多く存在します。
プロの講師指導の下、台本の書き方、カメラワーク、編集スキルなど多くの技術を学ぶことが出来ます。
ただ、卒業していきなりこれを番組制作の実践に活かせるかとなると、なかなかそうもいきません。

番組制作のディレクターにセンスは必要ですが、センスがあってもいきなりディレクターにはなれません。
AD時代にある程度の場数を踏んで、多くの現場を見ておかなければ、ディレクターとしてさまざまな予算やスケジュールに対応することは出来ません。
これらを学校で学ぶにはどうしても限界があるのです。

一般的なアシスタントディレクター期間3~5年は、
・アシスタントディレクターの仕事をする
・後輩のADを育てる
・場数を踏みながらディレクターになるためのスキルを身に付ける
といった期間でもあると言えるのではないでしょうか。

アシスタントディレクターのままでいたい

ところで、ときどきこのようなタイプのアシスタントディレクターに遭遇します。
「最近ちょこちょこディレクター的な仕事を任されるけれど、実はもうしばらくADを続けたい・・」
年齢的にも20代後半、それなりに経験も十分なのに
「自分にディレクターとしてのセンスがあると思えない」と言う自信がないタイプです。

ディレクターには番組制作に対して大きな責任や結果が伴います。
もともとディレクターになるためにこの業界に足を踏み入れたはずなのに、仕事ができるディレクターの元でその仕事振りを目の当たりにするうちに「自分には出来ない」と感じてしまうようです。

ただ、テレビ業界には残りたい、と言う気持ちがあるから大変です。
周りがどんどんステップアップし続ける中、年齢を重ねてもアシスタントディレクターでい続けることは当然難しいでしょう。

こう言った相談者に対しては、ADとしての経験を活かしつつ、テレビ業界でディレクター以外の道を探っていくことを提案することとなります。

ADとして過ごす数年間を無駄にしないしないためにも、常に“アシスタントディレクターの向こう側”を意識しながらAD期間を経験していくことが重要なのではないでしょうか。

登録面談

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