10分で「うつ」にされるAD達!?思い切って叫ぼう「退却ーーー!!」
夜11時、某テレビ局の番組プロデューサーから電話が。
アシスタントディレクター(AD)が倒れた!
このADをテレビ局に派遣している会社、つまり私は保護者みたいなもの。
日曜の夜ということもあり、すっかりくつろいでいた私は、
慌ててONモードに変身し、終電ギリギリで都内にある病院まで駆けつけたのだ。
病院に着くと、番組関係者がずらりと揃っていた。
電話をくれた番組プロデューサー、ディレクター、その他テレビ局の偉い人が数名。
これは一大事か!?と思いきや、
すたすたと軽い足取りで“倒れたAD”が登場。
検査をしながら少し身体を休めたら回復したらしいのだが・・・。
そこにいる全員が消化不良のまま、ひとまず帰宅を許されたのだ。
このADはKくん(24歳男性)
番組制作の仕事がしたいと、地方から上京してまだ数ヶ月だった。
午前中の情報番組に配属されているので、
倒れた日はオンエア準備の為、夜からの出勤だった。
すると、出勤してすぐに倒れたことになる。
この情報番組は“帯番組”(月曜から金曜まで毎日放送がある)なので、
曜日班と言って、自分の担当が決まっている。
何が大事件でもない限り、スケジュールも見えており、
週1~2日は必ず休みがある勤務体系だった。
休みの見えないバラエティ番組を制作しているADよりも体力的には無理がないはず。
様子を聞くたびに、「楽しいです」「元気です」と明るく言っていたKくん。
総合病院でメンタルヘルス科を進められ受診したKくんは
「軽度のうつ病」と診断された。
頑張り屋で、弱音を吐かないKくんは“精神的に疲労”していたのだ。
この診断をきっかけに、番組制作の世界から身を引いて行った。
「うつ」と言えば、怒りを覚える出来事があった。
バラエティ番組のADとして勤務していたTくん(26歳男性)は、
無断欠勤や遅刻を繰り返し、それでも「やる気はある」と言い続けていた。
本人も精神面の弱さを自覚していたこともあり、専門医の診察を受けることに。
港区の一等地にあるクリニックで、あっさりと「うつ病」と診断された。
一日分の用量が手の平からこぼれてしまうくらいの薬を処方され、
あまりの量に驚いた私は一つ一つの薬を調べてみた。
どれもこれも、重度の精神病患者が飲むような強い薬で、
なんともおどろおどろしい薬ばかりだった。
Tくんは素人目から見ても、「重度」には見えない。
さらにその薬を飲むことによって、生きて行く上での“熱”みたいなものが抑えられてしまった。
たった10分の問診で、
大量の薬を出す医師が信じられず、大学病院を再度受診することに。
そこでは薬は2種類のみで、医師の説明にも納得がいった。
徐々に回復を見せたTくんだったが、
そもそも番組制作の仕事に向いていなかったという結論に至り、
実家のある関西に戻って行った。
このTくんも頑張り過ぎる性格で、人知れず無理をするタイプだった。
ADに限らず、この他にも「うつ」と診断された若手スタッフの話はある。
不規則な労働環境と、ありとあらゆることに神経を使う仕事である番組制作の世界。
それでも自分が「やりたい!」と思って入ってきたという思いが強いのだろう。
みんな頑張り過ぎてどこかでバランスが取れなくなる。
では、どうすれば良いかなんて明確な答えはない。
性格をすぐに変えられるわけではないし。
ぎりぎりの状態まで追い込まれたら“退却”も選択だと思う。
精神ぶっ壊してまでやらなきゃならないことって・・・。
それにしてもすぐに「うつ」と診断されることにも疑問がある。
何人も見てきたけれど、本当にあっさりと診断書が出るのだ。
社員が病院に行く前に、上司や先輩は対話することで防げることもあるかも知れない。
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