うつ病になりやすい仕事とは?マスコミ・エンタメ業界で求められるメンタル
入社して1か月半ほど。
某芸能プロダクションにマネージャーとして入社したAさんですが、体調不良で休みがちとなり、ついに退職となってしまいました。
退職理由は、「ストレス性障害」
症状が進むと、いわゆるうつ病を併発する可能性もあるそうです。
社会人としてのキャリアもあり、大人の対応ができるAさんには会社もとても期待していました。
とは言え、入社早々に多くを望むのはAさんにプレッシャーとなるので、会社としても気をつけていました。
Aさんはストレスの原因を口にすることはなく、このような状態になってしまった自分自身に驚いているほどです。
会社側として思い当たることがあるとしてたら1つありました。
お礼状の書き方が間違っていたので、上司がAさんに注意したらしいのですが、その言い方が少しきつかったかも…!?
Aさんが体調不良で休むようになったのは、その後らしいので、強めに注意されて落ち込んでしまったのかもしれないそうです。
芸能業界では、ストレスで辞めていくスタッフも多いのは事実ですが、会社としてはそこまで思い当たることもなくショックではあります。
「ストレス性障害」という診断結果が出る前に、Aさんに働きやすい環境を整える提案をしたそうですが、こうなるともうどうしようもない状態になってしまいました。
まずはAさんの症状が回復することを第一に、残念ではありますがこれ以上続けることができないと、本人も会社も判断に至りました。
うつ病になりやすい仕事とは
専門的に見ると症状別に違いはあるかと思いますが、一般的に気分の落ち込みなどで仕事や日常生活に支障がでる症状を「うつ病」と言うかと思います。
うつ病は、気分障害の一つです。
一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいといった身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。
気分障害には、うつ病の他に、うつ病との鑑別が必要な双極性障害(躁うつ病)などがあります。
参考:「みんなのメンタルヘルス」より(厚生労働省)
では、「うつ病になりやすい」業界や仕事というのはあるのでしょうか?
厚生労働省が出している「精神障害に関する労災補償状況」では、下記のような業界の件数が多くなっています。
第1位:社会保険・社会福祉・介護事業(医療福祉) 275件
第2位:医療業(医療福祉) 209件
第3位:道路貨物運送業(運輸・郵便業) 101件
参考:「令和2年度 過労死等の労災補償状況」(厚生労働省)
このようなデータはありますが、なかなか特定の業界や仕事を指して、「うつ病になりやすい」とは言いづらいものがあります。
うつ病は特別な仕事についている人や、何か特徴がある人がかかる病気でもなく、誰でもかかる可能性があるからです。
仕事だけではなく、昨今言われる「コロナうつ」など、いつどのような影響を受けて、ストレスフルになるのかもわからないものです。
募集要件は「メンタルの強い人」
マスコミ・エンタメ業界は、「うつ病になりやすい業界・仕事」ではクローズアップされていませんでしたが、業界内でうつ病になる人を見る機会は決して少なくはありません。
番組制作アシスタントディレクター(AD)、広告制作会社のプロダクションマネージャー(PM)、ポストプロダクションの映像編集エディター、エンターテインメント企業の宣伝職、コンサート制作スタッフ、TV-CMディレクターなどなど。
思いつく限りですが、このような方達がメンタル不調で辞めていきました。
なかにはギリギリまで頑張り過ぎて、職場で倒れてしまった方もいて、近くで連絡が取れる関係者として夜中に迎えに行ったこともあります。
メンタル不調に気づかないまま働き続ける方もいて、ある時にいきなりガクッとくるというパターンも目にしてきました。
また、メンタル不調になった原因もはっきりしない方もいます。
働きすぎだったのか?人間関係に問題があったのか?
原因は1つではないのかもしれませんが、「○○だったからかもしれない」程度は認識していても、「○○だから」と明確な原因を告げて辞めていく人は少なかった印象です。
求人募集をする企業からの要望で多いのは、「メンタルの強い人」や「身も心もタフな人」。
程度の差はあるにせよ、メンタル不調で辞めていく方が多いからです。
そうなる原因はいくつか考えられます。
・夢と現実のギャップが大きい(入社前のイメージと異なる)
・繁忙期やスケジュールによってはハードワークになりがち
・社内外問わずたくさんの人と関わる
・一人ひとりに任されることが多い(責任がある)
・覚えることが多いので怒られることもたくさんある
・時間やスケジュールに追われる
・大小かかわらずトラブルが頻繁に発生する
ストレスをどういったことで感じるのかは人それぞれですが、このようなことが原因でストレスフルな状態に追い込まれる可能性はあります。
マスコミ・エンタメ業界で長く働いていている方は、性別にかかわらず、強い(強そうに見える)。
ちょっとやそっとじゃへこたれないメンタルをお持ちです。
でも、最初から強かった方ばかりではないと思います。
最初は心許なかった方が、何年か経って会ったら、よい意味で図太くたくましくなっていた、なんてことは山ほどあります。
「夢や目標があるならどんなことがあっても頑張らなくちゃ!」とは言いません。
夢や目標が自分の思い通りに叶わないから苦しくなるのです。
うつ病とまでいかなくても、途中休んだり、方向転換したりすることは悪いことではありません。
仕事と心と体調にうまく折り合いをつけることが大切です。
<石川かおり>