ヤ、ヤング!?波紋が広がるAD呼称廃止!変化から始まる改革に期待
テレビ局が番組制作アシスタント職の呼称である、『アシスタント・ディレクター(AD)』を廃止したとネット上で賑わっています。
テレビ業界が“ホワイト職場”アピールの滑稽 日テレは「AD→YD」に、「~ちゃん」呼び禁止の局も(日刊ゲンダイDIGITAL)
テレビ局「AD」呼称廃止報道に疑問の声「変えるべきは呼び方ではなく環境」(SmartFLASH)
日テレAD→YD呼称変更も実態は変わりにくい事情、意識改革の狙いは理解できるが根本解決ではない(東洋経済オンライン)
では、これからはなんと呼ぶかと言うと?
『ヤング・ディレクター』略して『YD』
こういった流れになることは、少し前から聞いてはいましたが、ヤングとなりましたか・・・。
『クリエイター』じゃなかったっけ?
『ネクスト・ディレクター(ND)』とも言うとか。
なぜAD呼称廃止になったか?
『AD』という呼称にはネガティブなイメージがつきまといます。
・雑用
・長時間労働
・下働き
・激務
・キツイ
・すぐ辞める
文字通り、ディレクターを補佐(アシスト)するから、アシスタント・ディレクターなのに、AD=ブラックみたいに定着してしまいました。
求人情報に、「AD募集!」とするだけで敬遠されるなんてことも。
もちろんテレビ局だって呼称を変えればよいとは考えていませんが、呼称を変えることで少しでもネガティブなイメージが払しょくされることを期待しています。
長年慣れ親しんだものが変わるときは違和感を覚えるものですが、数年~数十年経てば『ヤング・ディレクター(YD)』と普通に呼ばれるようになっているのかもしれませんね。
それにしても、ADからYDへの呼称変更についてはすこぶる評判が悪いようで・・・。
AD呼称廃止への世間の反応
「呼称を変更したところで実際の業務内容や待遇、上司の人たちの接し方など「実態」が改善されなければ意味が無い。」
「呼び方を変えても仕事内容は変わらないので、結局は同じだと思う。」
「えっ、アシスタントに何か悪い意味ある?」
著名人からも。
太田光(爆笑問題)
「ADがなんでダメなのか分かんないね、アシスタントディレクターだからね。別に何にも悪くないよね。そもそも、今はADそんなにひどい状況ないよね。昔はひどかったけど」
松本人志(ダウンタウン)
「『おいこら、AD!』と聞こえたけど、最近はとんと聞かなくなった。制作会社さんはいまだにきついこともあるみたいですけど」と話し、「ADさんでびっくりしている人もいると思う。『そんな感じで思われてるの?』と。ADに誇りを持ってる人もいると思う。名前だけ変えるならCEOでもいい」
マツコ・デラックス
「不愉快な子もいると思うよ。そんなふうに思っていたんですか、みたいな。アシスタントでこき使われていると思っていたから、そういう変え方するんですよね、ていう」
確かに、番組制作の仕事にプライドを持っているADさん達からは、呼び方に対しての不満や疑問は聞いたことがありません。
以前、番組制作会社への転職をサポートさせていただいた女性が、「AD扱いが嫌」と言って辞めていきましたが、ディレクターからの乱暴な発言や社内での「ADなんだから」的な扱いが問題でした。
呼び方じゃない、そんなことはみんなわかっているはずなのですが・・・。
ADとして働く、実態は?
呼び方を変える必要があるほど、ADとして働くのは厳しいものがあるのでしょうか?
AD呼称廃止のニュースの中にもありましたが、ADとして働く環境は一昔前と様変わりしているのが現状です。
・ADの待遇をちゃんとするように指導がある
・パワハラ的なことがあればすぐに問題になる
・ITリテラシーの高いADは下働きどころか重宝される
・深夜の会議等は禁止
・撮影や編集など、ADに任される仕事レベルの向上
・年末年始などの長期休暇はADが優先的に取得できる
・番組によっては週休2日や土日休みのADもたくさんいる
・女性ADが多く(キラキラ女子も目立つ)
ADに辞められたくないから気を遣っているなんていう話もありますが、徐々にでも業界の意識が変わってきたのは明らかです。
しかし、ADの労働環境に配慮する分、ディレクターや上のスタッフに負担がかかってしまうという新たな問題も発生しています。
番組制作全体のプロセス機能改善、構造改革、意識・風土改革など、AD呼称廃止からスタートして進んでいくことを願うばかりです。
<石川かおり>