マスコミ・エンタメ業界で考える会社の“規模感”
2019年春卒業予定者の就職意識調査では、「大手企業に就職したい」という回答が54.5%となり、“大手志向”は鮮明となっています。
しかし、転職希望者は必ずしも“大手志向”というわけではありません。
社会人経験を積む中で会社を見るポイントのようなものがわかるようになるからです。
それをまだ学生である就活生や、社会人経験が浅い20代前半の方に求めても難しいのではないでしょうか。
ましてや、マスコミ・エンタメ業界の会社と一般の会社では、“大手”と言っても同じように考えることは出来ません。
そんな中で、就活・転活中の皆さんは、会社のどこをどう見て“大手”と判断するのでしょうか?
会社の情報を見る際、【会社概要】を見るかと思います。
そこには、社員数や資本金、設立年月日などが記載されているはずです。
社員数
下記のような番組制作会社2社があるとします。
番組制作会社A社 社員数100名
番組制作会社B社 社員数30名
売上はA社の方が多いのに、最終的な利益はB社とほとんど変わりません。
このようなことがあり得るのが、番組制作会社で見られるからくりです。
A社はテレビ局などへ社員を派遣している「スタッフ派遣」が中心の会社です。
B社は、自社で企画した番組を社内で制作している会社です。
働き方改革や昨今の人手不足により、番組スタッフの待遇は上昇傾向です。
スタッフの待遇をなるべく良くしようと思えば、スタッフ派遣1人で得られる利益なぞ僅かです。
薄利多売と言うと表現が悪いかも知れませんが、たくさんの人数を派遣しないと会社としてやっていけないのです。
というわけで、社員数だけでは大きいとか小さいとか言えず、事業内容の違いといったところです。
資本金
資本金は会社を作る際の出資金額合計です。
業界や取扱い業務によって、資本金が高めに設定せざるを得ない会社はあります。
資本金が多くても、負債(借金)がたくさんある会社もあります。
業績が悪いので、増資を繰り返してどんどん高くなっている会社もあります。
資本金が多くても預金(銀行にお金がない)なんてことも。
反対に、会社が利益を上げても資本金の額は変わりません。
単純に資本金の額で会社の大小(安定性など)は判断出来ません。
設立年
マスコミ・エンタメ業界にも、老舗と呼ばれる社歴の長い会社が存在します。
例えば番組制作会社で言うと、日本で最初の独立系制作会社は約48年前の1970年に誕生しました。
その後に続々と制作会社が設立され、設立40年超えの番組制作会社は現在でも数社あります。
長く運営しているということは、テレビ局等からの信頼も厚く、制作能力があるからこそです。
では、出来たばかりの番組制作会社が信頼もなく制作能力がないのか?
声を大にして大否定したいと思います。
そんなことはまったくもってあり得ません。
力があるディレクターやプロデューサーが満を持して設立した会社であり、まさに旬な方達が番組を制作しているわけです。
テレビ局等からの引き合いも多いからこそ、採用活動を行っているということもあります。
また、新しい会社だからこそ、「みんなで会社を作っていこう!」という風通しの良さもあります。
マスコミ・エンタメ業界では、歴史のある会社も新しい会社も関係なく、クリエイティブで勝負です。
会社の規模は関係ない!?
上記の他にも、六本木ヒルズのようなランドマーク的な場所にオフィスがあるとか、社長や社員に有名な方がいるとか、会社の規模感をどこで判断するのか人によって違うかと思います。
マスコミ・エンタメ業界での会社選びのポイントは、「自分のやりたいことが出来る会社か?」というところです。
大手と呼ばれる会社と少数精鋭の会社でも、勤務条件にたいした違いはありません。
数字だけの情報に惑わされず、自分に合った会社を探せたら良いなと思います。
≪石川かおり≫