テレビ番組制作で“才能”よりも必要なコト
先週、テレビ番組制作を志望している大学生と面談をしたのですが、就職活動をしている中でとても不安に思っていることがあるそうなのです。
「才能がないので、ADにはなれてもその先のディレクターとかなれないのでは?」
番組制作会社の数は多く、採用の窓口も広いので、アシスタントディレクター(AD)としてスタートを切ることは比較的難しいことではありません。
しかし、ADからみんながみんなディレクターやプロデューサーなどにステップアップするわけではありません。
ADからステップアップ出来ない人
番組制作スタッフは、ほとんどの方が20代でスタートして、30歳前後でディレクターやプロデューサー(AP)になっていくのが平均です。
テレビ業界を見渡せば、30代以上でADとして勤務している方もいますが、圧倒的に数は少ないかと思います。
番組制作の世界で平均的なステップアップをしていかない方には、以下のような理由が考えられます。
■辞めてしまう
番組制作の仕事に楽しさややりがいを見出せずに20代のうちに辞めていく方はいます。
■キャリアチェンジ
制作デスクなど、ディレクターやプロデューサー以外の映像関連の仕事に転職する方も多いです。ステップアップ出来ないというよりは、番組制作の経験を活かした前向きな理由です。
■上がつかえている
先輩ADや若手ディレクターが多く、なかなかステップアップする順番が回ってこない環境にいる方もいます。
ステップアップ“したい”のに出来ないという方で、「才能がないから」とはあまり聞いたことがありません。
才能以外に必要なコト
テレビ番組を作る“才能”を持って、最初からテレビ業界に入ってきた方がどのくらいいるでしょうか。
中には、天才肌・ずば抜けた感性を持って活躍している方はいるかも知れませんが、ホンノ一部かと思います。
先日、某大手番組制作で日本テレビの人気番組のチーフディレクターとして活躍している、ディレクターAさん(40歳)のお話を聞く機会がありました。
AさんはAD時代に先輩や上司からこんな風に言われていたそうです。
「お前は才能がない。」「どうせ上にいけないから辞めた方が良い。」
そのAさんが人気番組のチーフディレクターになれたのは、ひとえに【努力】と【継続力】だそうです。
厳しいことを言われても腐らず、むしろ食らいついていったそうです。
しんどくて辞めたいと思ったことは数知れず。
「ここで辞めたらこれまでの努力は何だったのか!」と歯を食いしばる日々。
Aさんは言いました。
「当たり前のことを当たり前に出来るようになり、何にでも意思を持って取り組むことが大事。テレビ業界だから特別ということはなくて、どの仕事でも同じ。」
好きを仕事にする
向いてるか
どうかなんて
超えてゆけ。出典:宣伝会議『2018年夏期 編集・ライター養成講座』
街中で見かけたこのポスターがとても印象に残りました。
「好きなこと、やりたいと思ったことなら、向いているかどうかなんて関係ない!」ということですよね。
自分には才能がある、向いていると確信してスタートを切る方はそう多くないはずです。
「やりたいからやる。」ただそれだけのことを大事にして欲しい。
最初は不安に思うことはたくさんあるでしょうが、「超えてゆけ!」と私もテレビ業界志望者の方に伝えていきたいと思います。
≪石川かおり≫