テレビ業界に入ったけど思い出作りで終わる人

2015年6月17日

電話の対応に呆れる女性

ある日こんな電話が・・・。

私「キャリアトレインでございます」

電話主「AD?」

第一声が文脈もなにもない質問形で始まる電話に戸惑うのは私だけでしょうか。

二言目は「ADってどんな感じですか?」ときました。

推測するに、電話の主はどうやらテレビ番組のアシスタントディレクター(AD)職に興味があるようです。

沸点の低い私は、受話器を持つ手に力を込めて根気よく会話を試みようとしました。

私「インターネットで『アシスタントディレクター』と調べればたくさん情報は出てきますよ」

どうやら今月分の携帯電話の制限を超えてしまったらしくネット検索が出来ないらしい・・・。

パソコンは持っていない・・・。

電話なのに返事もしない相手に向かって説明を試みました。

最後の質問は「高卒でもなれますか?」

電話主は高校卒業したばかりなのか、20代の社会人なのかわかりませんが、電話でお話する限り学歴以前の問題です。

何も言わずに電話は切られました・・・。

ADという職業に興味を持って、一企業に電話をするという勇気はあるのだと思いますが、、、

「こんにちは」

「ADの仕事について聞きたいのですが」

「はい」(返事)

「ありがとうございました」

このくらいの言葉は聞きたかったです。

たくさんの資格と学歴を持つ人

ADに学歴は必要ない?

テレビ局の社員としてADから始めたいのであれば、一流と呼ばれる四年制大学以上は卒業していないと難しいです。

実際に番組を制作する『番組制作会社』の社員は、高卒~専門卒~大学(大学院)卒まで色々な方たちがいます。

一定の学力は必要になることはありますが、学生時代の経験や自分の個性を活かしている方はたくさんいます。

私の知っている番組制作スタッフの方でこんな方たちがいます。

☆高校時代運動漬だったADさんは・・・

スポーツ番組でスポーツに関する興味や知識を活かしています。

☆東京大学の理系出身のディレクターさんは・・・

科学番組や宇宙の番組を企画制作して評価を得ています。

番組制作会社によって、学歴基準を設けているところもありますが、学歴以外の個性やセンスなどを活かすことが出来るのが番組制作会社であり、テレビ業界でもあるのです。

では、ADは誰でもなれるの?

『現役ADによる「バカでもわかるAD講座」』

ある大学で行われたのマスコミ自主講座のタイトルです。

「わかりやすい講座ですよ」という意味なのでしょうが、、、ドン引きです。

常々思うことですが、「ADをバカにするな」です。

ADはクリエイターになる為の修行期間であって、“バカ”じゃ先はないんです。

“バカ”とは学力のことだけではありません。

先日ある女性タレントがドッキリ企画でADにキレたと話題になりました。

女性タレントのADへの叱り方が意地悪に見えてしまったことから、女性タレントへの非難の声が大きくなってしまいましたが、ADが年上のタレント相手にタメ口をきくなんてありえないことです。

口の利き方を知らないADは、テレビ業界全体の悪評を招きます。

また、最近ある情報番組で、取材対象者に対してのスタッフの態度が話題になりました。

ディレクター以外のスタッフは挨拶もなし

3人のスタッフがいたが、ダラーっとしている。こっちを見ようともしない。壮絶な地雷感を感じた。あいさつがない。あいさつって、空気のようにいつも当たり前にあるからなんかヤバイと思った

取材対象者ブログより

あるバラエティ番組でも、取材対象者に対しての横柄な振る舞いが批判されたこともありました。

このように学力ではなく常識を疑うような“バカ”な行いの方が問題なのです。

歓迎

ADには簡単になれるの?

答えは「YES」

対象年齢等の要件がマッチしていれば、ADとして働く機会を得ることは難しいことではありません。

ただし・・・!!!

番組制作に対して何もない方は、続けることが難しいという現実があります。

ADにはなれるけれどディレクターにはなれない。

若いうちの時間を無駄に過ごして終わりです。

それにしても、カメラやエディター(映像編集)を志す方は「カメラアシスタントになりたい」「編集アシスタントになりたい」とはあまり言いません。
なぜかADは「アシスタントディレクターになりたい」と言う方が多いのですが、その時点で番組制作に対する何かを感じることが出来ません。

ADならなれると思うのでしょうか?

テレビがつまらないのはスタッフのせい?

一部の番組では言えるかも知れません。

そしてこれからますます心配になることがあります。

ここ数年でテレビ業界を志す若者は確実に減っています。それも激減。
テレビ黄金期に戻ることなど考えにくい中で、より一層若者のテレビ離れは進むと言われています。

このような状況の中で、番組スタッフの採用基準を上げることは出来ないのもわかります。
厳しく選考したら採用が出来なくなってしまい、既存のスタッフが疲弊するばかりです。

採用基準を下げる

スタッフのレベル低下

つまらない番組の垂れ流し

視聴者が離れていく

テレビ観ない

悪循環でしかありません。

路線バス番組

テレビ東京では以前からスタッフをこのように鼓舞しているそうです。

「お金がないなら知恵を出せ」

土曜スペシャルの人気番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』の例で、、、

格安でも高視聴率 テレ東「路線バス」旅番組に他局歯ぎしり

『路線バス』は1時間当たりの制作費が約600万円と格安。これは出演料込みの金額です。
ちなみに、テレ朝は3500万円、フジ4000万円、TBS3000万円、日テレ2800万円とケタが違う。

日刊ゲンダイより

これも知恵を出せるスタッフがいてこそです。

お金もない、知恵も出せないでは・・・ぞぞぞ。

まとめ

番組制作には色々な制限があり、一概にスタッフの力だけで番組の良し悪しを決め付けるのは酷ですが、
AD時代から自分なりの志を持って、「こんな番組を作りたい」と想い続けてきたスタッフには期待は出来るはずです。

そんな番組スタッフを増やす為にも、常識力を持った若者の採用は必須です!

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