雇止め多発で失業者急増!?と噂される「非正規雇用5年超で無期雇用に転換」のルール

2012年11月29日

「来春から、5年超働いている契約社員は全員、正社員にしなくちゃいけないらしい」
「5年になる直前に契約を切られて、失業者がたくさん出るらしい」

などと、恐ろしい噂ばかりが広がっている、“労働契約法の改正”

マスコミ業界も、非正規雇用で働く社員が目立つ業界のため、対応を迫られている企業は多いのではないでしょうか。

平成25年4月からの施行が迫っていながら、改正の内容は複雑で、事業主にも労働者にも、正しく伝わっていないように思います。正しく知っていないと、闇雲に契約を打ち切って、それこそ失業者が続出してしまうでしょう。

そこで、来春から施行される労働契約法改正の「5年無期雇用化」について、整理してみたいと思います。

 

【労働契約法改正の概要】

今年8月に公布された「労働契約法の一部を改正する法律」では、3つの改正点があります。

1.無期労働契約への転換 2.「雇止め法理」の法定化 3.不合理な労働条件の禁止

このうちの1つが、企業がもっとも関心を寄せている「無期労働契約への転換」です。

これは、有期雇用契約(契約社員、パート、嘱託など呼称にかかわらず、期間の定めのある労働契約)が反復更新されて通算5年を超えた時は、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期雇用契約)に転換する、というルールです。

例えば、1年の契約を繰り返している、契約社員のAさん。
5回更新して、勤務6年目に突入すると、Aさんは勤務先に「無期雇用にしてください」と申し込むことができます。
勤務先企業は、申込まれた時点で承諾したとみなされ、7年目からAさんを無期で雇うことになります。(※最後の有期契約が満了になった日の翌日から、無期雇用となります。申込みの即日から無期に変わるわけではありません。)

契約期間が1年以上のパターンや、期間の通算方法、その他詳細は、厚生労働省のリーフレットでご確認ください。

労働契約法改正のあらまし

 

【「無期雇用=正社員」ではない】

5年超で、誰でもみんな「正社員」にしなくてはならないわけではありません。

例えば、更新を繰り返して5年超となったパートタイマーは、期間の定めのないパート勤務であれば良く、正社員にする必要はありません。有期でなければいいわけです。

また、基本的には、有期雇用の時と同じ労働条件で問題ありません。
無期雇用だからといって、必ずしも退職金や賞与まで正社員と同じにしなくてはならないわけではありません。
(ただし、正社員と同じ職務内容、同じ責任の重さで仕事をさせているときは、給与をはじめとする労働条件で、差別をしないようにしなくてはなりません。)

職務内容や勤務地を限定することで、通常の正社員と別の労働条件を定めるときは、きちんと就業規則を作っておく必要があります。

 

ちなみに、この規定は平成25年4月1日以降に結んだ労働契約からが対象となります。

4月1日の時点ですでに3年働いていても、4月1日以降に結んだ契約(更新した契約)から5年をカウントすることになります。

平成25年4月1日時点で5年超の労働者を一斉に無期雇用にするものではありません。

 

【雇止めは増えるのか】

有期契約の労働者は、5年経過する前に雇止めをすればよい、という間違った噂も広まっています。

この噂は危険です。

有期契約であっても、更新を繰り返したり、更新を期待させたりした労働者については、雇止めできない場合があります。正社員を解雇するのと同じで、社会通念上相当で、客観的に合理的な理由がないと、雇止めできないのです。

間違った噂を信じて雇止めをしてしまうと、雇止め無効を争うトラブルが多発する恐れがあります。

労働契約法改正

では、初めの契約を結ぶ際に、
「契約は1年ごと、更新4回が上限。最長5年までしか雇わない。」
という約束で有期雇用契約を結ぶのは違法でしょうか。

労働局に問い合せたところ
「予め更新の上限を決めて有期契約を結ぶのは、法改正の意味が無いので、止めてください。」
との回答でした。

違法とは言えないが、「雇用を守る」趣旨に反する、ということですね。

 

確かに、不本意に非正規として働いている人の雇用は最大限に守らなくてはなりません。
ですが同時に、今回のように労働契約についての法律が厳しくなると、将来的な会社の財政状況まで見越すことができず、結果、有期労働者を雇い入れしづらくなったり、更新しづらくなったりして、お互い不幸なパターンが増えるという可能性も、大いにあると思います。

総務省が発表した7~9月期平均の労働力調査によると、非正規社員の割合は、雇用者全体の35.5%。人数にすると1829万人です。
この法改正に対応しなくてはならない企業は、非常に多いと思います。

労働契約についての規程は複雑化しています。
法律を知らずに雇入れや雇止めをしていると、自覚がないままに違法行為をしている可能性がありますので、充分注意が必要です。

社会保険労務士 平倉聡子

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