怒られたくてテレビ業界に入ったわけじゃありませんが。

2019年3月18日

怒られる

キャリアトレインの就職・転職サポート面談で、番組制作アシスタントディレクター(AD)希望者に必ず聞くことがあります。

「これまで、怒られた経験はたくさんありますか?」

答えは大体この2つ。

①「めちゃめちゃ怒られてきました」
②「あんまり怒られることはなかったです」

なぜこんなことを聞くかと言うと、「ADは怒られるのが仕事」というところがあるからです。

番組制作の仕事に限らず、どんな仕事でも上司や先輩から怒られながら覚えていくものですが、上下関係がはっきりしている職場だからこそ怒られる場面が目立ちます。

ADとしてスタートをするのに、知識や経験は必要ありません。

右も左もわからない状態で仕事が始まるわけですが、それで「出来ない」「間違わない」「忘れない」わけがありません。

そうすると、当然のように“怒られる”わけです。

怒られたADには理不尽にさえ感じます。

「わからないんだから、教えてくれたらよいのに・・・」

しかも、怒り方も良くない。

「怒鳴る」「乱暴な言葉遣い」

(注)一歩間違えれば“パワハラ”になるので、最近は随分減ってきました。

しかし不思議なもので、このようにガーガー怒られることも慣れがあるようで、何人かのADさんに聞いてみたことがあるのですが、「あまり気にならない」と言います。

仕事を覚えていくうちに、怒られた理由も実感するようになり、「そりゃ、怒られますよね(笑)」なんて言っています。

でも最初のうちはきつかったそうです。

ミスして怒られるのはともかく、一生懸命頑張っても怒られることがあるそうなのです。

ADはどんなことで怒られる?

新人ADが怒られる理由なんて山ほどあるかと思いますし、人によって怒られポイントは異なりますが、ADさん達に「こんなことで怒られた」を聞いてみました。

・挨拶や電話の取り方が出来ていなかった
・ホウレンソウをしないでミスした
・同じミスを繰り返した
・仕事中にウトウトしてしまった
・頼まれた仕事が終わらなかった
・ロケに持っていくものを忘れた
・ミスを隠した

これらの怒られる理由は、一般的な仕事をしている方も経験があることかもしれません。

とにもかくにも、怒られるということは改善の余地があるということです。

上司や先輩が自分のことをよく見てくれているからこその叱咤です。

しかし、どんな理由があっても、やってはいけない怒り方というものあります。

ダメな怒り方

・人格を否定する
・感情的になる
・人前で叱る
・人と比較する
・理不尽を押し付ける
・責任を追求する
・叱った後はフォローがない

今朝そこそこ混んでいる電車内で、上司らしき男性が部下らしき若い男性をず~っと叱っていました。

注意しているというレベルではなく、声を張り上げて興奮状態で20~30分。

部下がどんなミスをしたか知らないですが、私を含め、周りの乗客はこの上司風の男性にうんざりでした。

部下はほぼ黙り込んで神妙な態度で聞いていましたが、きっと聞いてないですよね。

公衆の面前で恥ずかしくて、話の内容どころじゃないはずです。

ダメな叱り方のお手本を見ているようで、関係ない私がイライラしてしまいました。

怒られているうちが華

「ADは怒られるのが仕事」というほど、そんな場面が多いとはいえ、怒られたくてテレビ業界に入ったわけじゃありません。

あの是枝監督でさえ、番組制作会社のAD時代は「怒られるのが怖かった」とインタビューで振り返っています。

誰だって、怒られるのは嫌だし、仕事を辞めたい気持ちになります。

そう、“誰だって”です。怒られるのは自分だけではありません。

「怒られているうちが華」「注意されなくなったら終わり」とよく言いますが、本当のその通りです。

どうでもいい相手に怒るというエネルギーを使うのは無駄なだけで疲れます。

「自分のために怒ってくれている」とはなかなか思えないかもしれませんが、自分が先輩になった時にはやっと理解できるのかもしれませんね。

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≪石川かおり≫

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