「ADになりたい!」で、なったらどうする???
例えば美容師になる為に、寿司職人になる為に、医師になる為に、アシスタント(見習い)の期間があるわけで、誰も「美容師の見習いになりたい!」とは言わないと思います。
それなのに、なぜか「テレビ番組のアシスタントディレクター(AD)になりたい!」と言う方は結構たくさんいるのです。
同じテレビ番組のスタッフでも、「カメラアシスタントになりたい!」とはあまり言いません。
撮影したいですものね。アシスタントとしてカメラマンの雑用をしたいわけではありません。
ADはディレクターになる為の見習い期間であって、厳密に言えば“AD”と言う職業はないと考えます。
5年後、10年後どうなっていたいか?
例えば大卒ですぐにテレビ業界に入ったとして、5年後は27歳、10年後は32歳。
その頃にどうなっていたいか想像してみると、今自分が何をすべきか少しは見えてくるのではないでしょうか?
「やってみなければわからない」と言う方はとても多いです。
そりゃそうですが、「こうなりたい!」がなければ何に向かって頑張るのでしょう?
フワッとテレビ業界に入ってきた方の顛末をご紹介します。
思い出作りでテレビ業界へ
フリーターからテレビ番組制作会社に就職したNさん(22歳)。
バラエティ番組のADとして働き始め、1ヶ月ちょっとで退職しました。
実はNさんのような方は珍しくありません。
早期退職するADからよく聞くセリフがあります。
「テレビの仕事はなんか違う」
たかだか数ヶ月でテレビの仕事を勝手に総括してくれます。
テレビ業界の華やかさだけを求めてきた結果、このような感想を抱いてしまうようです。
入社前にテレビ業界のことを見聞きして、大変さも頭では理解してきたのだと思うのですが、実際に経験すると想像以上の何かがあるのでしょう。
「ディレクターやプロデューサーになって○○がしたい」
「テレビ業界で○○になっていたい」
テレビ業界での就業目的を持っていれば、短期間で簡単に辞めないはずです。
Nさんは「ADになりたい!」と言う目的を果たして満足してしまいました。
テレビ業界に限らず、その会社や仕事で自分がどうしたいのかを持っていないと就職して終わり。
将来への想像力欠如が、大卒者の3人に1人は3年以内に離職する現実につながっている部分もあるかと思われます。
先のことはわからないけれど
理想とする5年後10年後を描いていても、人生は思い通りにはならないものですよね。
ディレクターを目指して頑張っていたけれど、「自分にはディレクション能力がない」とキャリアチェンジした方もいます。
違う夢を見付けて羽ばたいて行った方もいます。
女性の場合、結婚や出産など、選択肢が増える可能性もあります。
男性でも人生の転機はいつなんどき起きるかはわからないものです。
その時はその時で決断は迫られますが、自分がとろうと思っている行動の先に何があるのか?
想像力をフル回転させることが大切です。
《石川かおり》