転職ありきのキャリアプランに潜む4つのリスク

2017年11月13日

転職

専門学校を卒業後、新卒入社した番組制作会社でアシスタントディレクターとして2年半働いていたAさん(23歳)

ディレクターを目指してテレビ業界に入ったのですが、働くうちに目標を失ってしまいました。

「ディレクターやプロデューサーを目指す感じではなくなった」と、Aさんは転職を決意したのです。

とは言え、テレビ業界には関わっていたい気持ちがあり、制作デスクなどのバックオフィス系の職種を考えました。

または、エンターテインメント業界と世界を広げ、これまでの経験を活かせるような仕事はないかと探していました。

Aさんは、「23歳にもなって将来の目標が見えないことに焦りを感じます」と、悲痛な様子でキャリアトレインの転職サポート面談を訪れました。

きっと明るい性格で番組ADとして活躍してきたであろうAさんですが、面談中なかなか笑顔が見られません。

それほどまでに、転職に対してネガティブな思いにとらわれてしまっていたのです。

Aさんにとっては、「もう23歳」

私から見たら、「まだ23歳」です。

ちなみに私が就職・転職をサポートするという今の仕事に就いたのは25歳の時です。

青春時代に描いていた夢が21歳でやぶれ、アパレルメーカーの営業になったものの3年ほどで転職。

誘われるがままに人材紹介会社の社員になったのですが、結果的に天職を見付けました。

Aさんだって、これが最後の転職ではないかも知れません。

平成25年若年者雇用実態調査(厚生労働省)によると、若者の転職実態がわかります。

◎初めて勤務した会社で現在も働いているかどうか

「勤務している」 51.7%
「勤務していない」47.3%

若いうちに適職を探しながら転職を繰り返すことを、「天職探しのための投資」と言われるそうです。

引用:『ゆとり世代はなぜ転職をくり返すのか?-キャリア思考と自己責任の罠』福島創太(著)

転職することを視野に入れてキャリアプランを持つ若者もおり、転職することは当たり前くらいになっていきています。

しかし、実際に20代の転職をサポートしている立場から見ると、そのような若者のキャリアプランが通用しない企業や、何だかんだで20代も後半になり、取り返しがつかなくなるケースも見てきました。

転職するなら知っていきたいこと

①すべてがアップするわけではない

キャリアアップの為、スキルアップの為、待遇アップの為、転職希望者がよくこのような転職理由をあげます。しかし、短期間で業種・職種を変えた結果、キャリアは中途半端なものになり、未経験職種への転職の場合は現状よりもすべてがダウンすることも。

②いつまで経っても下っ端の可能性も

未経験職への転職の場合は、当然一番下のクラスからスタートです。転職を重ねると社内での立場やキャリアを積み重ねることが出来ず、いつまで経っても上に上がれないなんてことも。

③正社員雇用が難しくなることも

転職を重ねている求職者は、企業にとっては不安以外のなにものでもありません。「また辞めるかも知れない」と思われるリスクも。

④転職回数で不採用

「20代で転職回数2回以上」これだけで書類選考が通らないことも。企業によって採用基準は異なりますが、厳しい判断をされることも多々。

転職者2つのタイプ

若者の転職には大きく2つのタイプがあります。

理想追求型

前述の『ゆとり世代はなぜ転職~』では、“意識高い系”の転職と紹介されていました。やりたいことや、自分なりの理想が高い為、それが叶わない企業には定着しないという。

短絡逃避型

『ゆとり世代はなぜ転職~』では、“ここではないどこかへ系”とのこと。少しでも嫌なことがあると転職を考え、何がしたいのか定まらないまま流されていくタイプ。

どちらにしても自分を価値を高める転職にしないと、年齢を重ねる毎に取り返しのつかないことになるかも知れません。

転職成功とは

よく、番組制作アシスタントディレクターとして働き始め、数か月で「テレビ業界は違うと思って」と言って辞めていく方がいます。

数か月で何が“違う”のかよくわかりませんが、ある程度は我慢した先に見えることがあるのではないでしょうか?

仕事をわかった気になって、次々と転職を繰り返すようでは転職ジプシーになってしまいます。

とは言え、我慢を重ね過ぎて、得も言われぬ閉塞感に押しつぶされそうになっている方々と面談をすると、もう少し外の世界をのぞいてもよいのではないかと思います。

「やりたいこと」が「できること」に変わったら転職成功は近いのかも知れません。

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≪石川かおり≫

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