全然自由じゃない!?フリーランスという働き方

2016年3月30日

フリーランス

少し前に放送していた、フリーランスの外科医が主役のドラマ『Doctor-X 外科医・大門未知子』(テレビ朝日)で、米倉涼子さんが演じるフリーランス外科医の奔放さに【フリーランス=自由】と印象がついた方もいるかも知れません・・・。

だって、冒頭のナレーションがカッコよすぎ。

「群れ、権威、束縛を嫌い、ライセンスとスキルだけが彼女の武器だ。」

大門未知子はドラマの世界ですが、実際に自分の腕一本で勝負しているフリーランスはたくさんいるのです。

日本国内のフリーランスは1,228万人(副業系すきまワーカー593万人、自営業系独立オーナー436万人)

ランサーズ調べ

フリーランスは労働人口の40名に1名の割合と言われています。

テレビ業界でもフリーランスで活躍している方はたくさんいます。

先日お会いしたアシスタントプロデューサー(AP)の女性も、30歳を目前にして、今後の働き方について悩んでいました。

番組制作会社の社員か?フリーランスになるか?

フリーランスという働き方

英語で言うと何だかカッコイイですが、つまりフリーランスとは「個人事業主」のことです。

フリーランスで働いている人をフリーランサーと言います。

フリーランスとは、正社員や契約社員、派遣社員と違い、どこの会社にも所属しない「個人事業主」としての働き方を指します。

テレビ番組制作におけるフリーランスと言う生き方

社会保障面でも会社員とは異なります。

会社員は、健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険の4つの社会保険に会社が加入しています。保険料も、健康保険と厚生年金は折半で、労災保険は全額、雇用保険も半分以上を会社が支払ってくれています。
しかし、フリーランスは労働者ではないので、労災保険と雇用保険には加入できません。つまり、仕事中にケガをしても、育児のために休業をしても、仕事を辞めても、給付を受けることができません。

出典:日経ウーマンオンライン

フリーランスが活躍する職種

ほとんどの仕事(職種)でフリーランスとして働くことは可能だと思います。

中でも特に多いのは、「IT・WEB系」「クリエイティブ系」「コンサル・資格系」「士業」といったところでしょうか。

■クリエイティブ系
番組制作ディレクター、映像編集、映画監督、記者、カメラマン、ライター、イラストレーターなど

■IT・WEB系
プログラマー、システムエンジニア、Webデザイナー、DTPデザイナー、グラフィックデザイナーなど

■コンサル・資格系
経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナー、インテリアコーディネーター、キャリアカウンセラーなど

■士業
弁護士、税理士、会計士、司法書士、社労士、中小企業診断士、建築士など

■その他
翻訳・通訳、ファッションデザイナー、メイクアップアーティスト、販売、芸能家、ジャーナリストなど

フリーランスなのに“ブラック企業”!?

「会社や時間に縛られず自由に働き、正社員で働くよりも高収入を獲て、フリーランスってサイコー!」

なんて、現実は甘くありません。

フリーランスになってみると、会社員の方が楽だったなんて思うことも。

「事業所の経過年数別生存率」

個人事業で創業した場合、なんと創業者の約40%が1年未満に脱落している。3年目をクリアして、5年後まで継続できる人はわずか約25%。創業から5年で、4分の1にまで減少してしまう。そして、10年後まで生き残っている人は10%にすぎない。

出典:中小企業白書(2006年版)

会社に所属しているわけではないのに、一人ブラック企業化しているフリーランスの方は数知れず。

  • ・労働時間が長い
    ・土日祝の休みは関係ない
    ・毎月安定した給料が得られない
    ・すべての責任を自分で負う
    ・休んだら収入が途切れるだけ
    ・自分で仕事を見つけなければいけない

テレビ業界のフリーランスは?

以前、某大手コンテンツ制作会社の方がおっしゃっていました。

「出来るクリエイターはみんなフリーランスになる。」

では、今御社にいるクリエイターの皆さんは一体?と思った覚えがありますが・・・。

確かに、自分の実力に自信がある方ほどフリーランスとしてやっていけると思うわけで。

特に、30歳前後の番組ディレクターはフリーランスとしての需要もかなりあります。

これまで築いた人脈を駆使して、あちこちの制作会社と番組契約を結ぶわけです。

収入は会社員ディレクター時代の3倍、5倍・・・。

1,000万円プレイヤーもいます。

収入増を目的にフリーランスになる方は多いと思いますが、さてさて。

番組制作費が下がり続けている昨今、高収入を維持出来るフリーランスディレクターはどれほどいるのでしょうか。

番組の掛け持ち掛け持ちで、休む暇もなく自らを酷使すればあり得るかも知れません。

また、契約書なしの口約束で仕事を受けるフリーランスは、ギャラの未払いという憂き目に遭うことも少なくありません。

フリーランスとして軌道に乗ってきたら、法人化する方もいます。

フリーランスになっても決して楽にはなりませんが、フリーランスはフリーランスなりの目標設定やステップアップがあるのです。

さて、社員か?フリーランスか?で悩んでいるアシスタントプロデューサーの女性の話に戻りますが、彼女は周りにいるフリーランスで働くアシスタントプロデューサー達を見て、「自由」「融通が利く」「縛られない」などと幻想を抱いている様子です。

自由を求めフリーランスになったけれど、本当にやりたい仕事ができる人はわずか。

自由を得るには、並大抵の努力では済まないことを覚悟した上で選択してもらいたいものです。

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《石川かおり》

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