面接では言えない!退職理由は「人間関係」
職場にいる嫌な上司や先輩と一緒に仕事をするのは毎日憂鬱ですよね。
上司や先輩との距離感にもよりますが、関わるしかない場合は逃げ場がありません。
大手求人広告サイトが転職経験者100人に退職理由を調査したところ、上司や先輩との関係が上位を占める結果となりました。
上記ランキングの中で上司や先輩との関係が退職理由と思われるもの↓
1位 上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった
3位 同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった
6位 社長がワンマンだった
では、上司や先輩との人間関係で退職した方が、転職を希望する会社の面接で本当の理由を正直に話すでしょうか?
面接官 「退職理由は何ですか?」
転職希望者 「上司や先輩とうまくいきませんでした。」
通常であれば、この方の選考結果は厳しいものとなるでしょう。
よほど共感を得られる理由があれば別ですが、「人間関係が原因で前職を辞めた。」という転職理由は、「うちに来ても同じようにならないか?」と面接官を不安にさせます。
嫌な上司や先輩はどこにでもいます。
本音で退職理由を話すことさえ出来ないのに、嫌な上司や先輩がいるからと会社を辞めるのは正しいのでしょうか?
テレビ業界の嫌な上司や先輩
テレビ番組制作の仕事はアシスタントディレクター(AD)と呼ばれる見習い業務から始まります。
新人ADの上には、先輩AD、チーフAD、ディレクターが君臨し、アシスタントプロデューサー(AP)、プロデューサー、映像技術スタッフ(カメラマンetc)などのありとあらゆるスタッフから指導・指示を受けます。
番組によっては100名を超えるスタッフと仕事をすることもあり、その中で気の合わない上司や先輩がいないわけがありません。
そんなことは頭ではわかっていたのだと思いますが、結果的に「上司や先輩が嫌い」という理由で退職に至ったアシスタントディレクターもいました。
「ディレクターが嫌いだから辞める!」
ディレクターとは?
ディレクターは、プロデューサーのもとで番組制作の実務を担当します。演出とも言われ、自ら情報収集や取材をし、台本も書きます。またVTRの構成や編集をしたり、番組内で使用する音楽や効果音を決めたりもします。大きな番組では複数名のディレクター(D)で役割を分担したり、構成作家と一緒に内容を考え、アシスタントディレクターと一緒に番組を進行していきます。収録前には台本をチェックしてカット割りを決めたり、技術スタッフや美術スタッフと打合せを行います。本番中はモニターを見ながら出演者やスタッフに指示を出して番組を進行します。
入社1年目のKさんは、直属の上司であるディレクターが嫌で退職に至りました。
Kさんはスタッフが少ないの番組を担当していて、先輩ADもいない状態でした。
ディレクターと常に行動を共にし、バシバシ指示が飛んできます。
その中でも『むちゃぶり』と感じる指示が多く、ディレクターへの苦手意識が日に日に高まっていました。
例えば・・・
明日の朝までに用意しなければならないものを夜10時過ぎに指示された時
(T_T)お店はどこも閉まっていて、手に入りそうなところを一晩中探しまくることに!
やっと見つかったはいいけれど、電車で2時間以上かかる場所に取りに行き、朝から往復5時間以上の移動で何とか間に合わせました。
この時、ディレクターからのねぎらいの言葉は一切ありませんでした。
同じようなことは日常茶飯事。先回りして確認を取っても無駄でした・・・。
ロケで必要だからと数十万円を自腹で立替させられた時
番組で使用するものは当然経費で落ちるので、『仮払金』と言われるまとまったお金を会社から預かって購入にあてます。
仮払金が手元にない場合は、自分のお財布から立て替えて購入することもありますが、せいぜい数千円です。ADが大金を持っているはずもなく、少しの立て替えでも苦しいものです。
(T_T)ある日、数十万円の立て替えをディレクターから指示され、払えないので断ったところ、クレジットカードを発行するように言われた。
数回に分けて引き落とすことが出来るので、一気に支払う必要はないとのこと・・・。
ディレクターは周りからの評判は良く、下につくADは恵まれているとされていました。
別にディレクターは悪人だったわけでもなく、たくさんのADを育ててきた人だったと退職してからなら思えたのですが、在職中は、ディレクターが出社してくるだけで具合が悪くなる程、嫌で嫌でたまりませんでした。
結局、このディレクターについて3ヶ月もしないうちに退職することになりました。
「誰々が嫌だからと辞めてたらキリがない」
人間関係が決して良好とは言えない環境で勤務しているADがいます。
新卒で某番組制作会社に入社したSさんは、同期がバタバタと辞めていく中で今年5年目を迎えます。
決して大きくはない会社で、少ない社員同士協力し合うことが大切なはずですが、社長を筆頭に個人主義。
「仕事は見て覚える」をまさに体感してきました。
最初のうちこそ「辞めたい」と感じたことはありましたが、番組制作そのものは楽しく、「仕事を覚えて一人前になったら会社を飛び出す」という目標が出来上がったそうです。
Sさんは言います。
「誰々が嫌いだからと言って辞めてたらキリがないっすよね」
Sさんはある意味で自分のことしか考えていません。
自分がどうしたいか、自分がどうなりたいか、その為には自分はどうしたらいいか。
他人によって自分の行く道が変わるのは許せないそうです。
まとめ
Kさんのように、受け取り方によっては『パワハラ』が疑われる態度があったり、一度「嫌!」と感じてから立て直すことが難しい人もいます。
ただ、何度も言いますが、嫌な上司や先輩はどこにでもいます。
Kさんも退職後、どこかの会社で勤務していると思いますが、果たして“嫌な上司や先輩”はいないのでしょうか?
いなければ幸せなことですが、別の理由を探して退職することのないように祈るばかりです。
Sさんのように、前だけを見て孤独な社会生活を送るのもなかなか出来ることではありませんが、5年目の今年、ディレクター昇進が決まったそうです。
つまり、コミュニケーションが良好に取れていないと感じていた上司や先輩たちですが、きちんとSさんのことを見ていてくれていたのです。
Sさんは、早々に辞めていった同期たちには味わえない喜びを得ることが出来ました。
嫌な人間関係にひたすら耐えろとは言いませんが、自分の意思がどこにあるのかをまずは考えるべきですね。
《石川かおり》