業界や職種によって変わる謎のポジション“アシスタント”。TV業界のアシスタントとは??

2015年6月29日

一般的に“アシスタント”とは?

“アシスタント”と聞いてどのようなイメージを持つでしょうか?

【1】職業 “アシスタント” :誰かの補佐やサポート、秘書的な役割
【2】期間 “アシスタント” :半人前、見習い的な立場

多くの場合はこのいずれか、または両方のイメージだと思います。
それぞれのイメージについて例を挙げて考えてみます。

職業“アシスタント”としてスキルアップを図る

まず【1】は職業として成立しているイメージです。
例えば「営業アシスタント」。文字通り「営業をアシストする」仕事です。
営業アシスタント=営業事務と捉える会社も多く、基本的には内勤がメインですが、営業に同行して企業を訪問したり、時には不在の営業に変わって対応が求められます。

ここから将来「営業職」を目指す人もいますが、一般的には営業アシスタントとしてのスキルアップを図ります。

歯科助手などもこのタイプです。
歯科医を目指すわけではなく、通常は歯科助手としてキャリアを積みます。
料理番組でタレントやアナウンサーが料理人のアシスタントを務める役割も同じような意味です。

あくまで一人前になるまでの期間“アシスタント”

次に【2】ですが、例えば「美容師アシスタント」はどうでしょう。
いつか一人前の美容師になるために、まずはアシスタントとしてスタートします。
この間はアシスタントとしての仕事をこなしつつ、空いた時間を使って日々勉強をしています。

見習い料理人も同様です。見習いを目指して料理の世界に飛び込む人は恐らくいません。
彼らの目標はあくまでも一人前の料理人です。
先ほどの料理番組のアシスタントとは大きく意味が異なります。

assistant

TV業界の代表“アシスタント”、アシスタントディレクター(AD)

毎年多くの若者が、テレビ番組制作の世界で「アシスタントディレクター」としてのスタートを切っています。

いつか“アシスタント”が取れて一人前の“ディレクター”に!と高い志を持つ人がいる一方で、
“アシスタントディレクター”になりたい、と言って業界を目指す人も少なくありません。
後者に「将来はどうなりたい?」と尋ねると、「…ディレクター?」と逆に質問で返されることがあります。
「アシスタントディレクター」を自分が目指す職業と考えているのかどうかは定かではありません。
ただ、彼らは「本当に自分がディレクターになれるだろうか」と言うよりも「ちゃんとADになれるのか」を気にしているように感じます。

もちろんADからスタートし、必ずしもディレクターになるとは限りません。
目指す場所はひとつではありませんし、経験を積んだ上で自分の適性を知り、別の方向性を考えるようになる人も大勢います。

ひとつ言える事は、いつまでもアシスタントディレクターでい続けることは出来ないということです。

テレビ業界で5年も6年もADを続けていれば、もうADとしてはベテランクラスです。
ただ、その頃にはぼちぼち周囲に年下のディレクターやプロデューサーが現われ始めます。
どんなに「自分は年下から指示を出されても全く気にしない」と言ったところで、残念ながら指示を出す側が気にしてしまうと言う現実もあります。
ADの採用に年齢の壁がある背景にはこう言った事情もあるのです。

テレビ業界に限ったことではありませんが、最初の数年だけでなく、その後の何十年をいかにイメージできるかが重要です。

他にもまだあるTV業界“アシスタント”

テレビ業界の“アシスタント”は他にもあります。

カメラアシスタント ⇒ カメラマン
編集アシスタント ⇒ 編集マン、編集エディター
MAアシスタント ⇒ MAミキサー

“アシスタント”と呼ばれるポジションには、必ず“アシスタント”としての仕事があります。
アシスタントの仕事をこなしながら、一人前を目指して日々勉強。
職業「アシスタント」ではなく、職業「○○○○」を目指すためのアシスタント期間なのです。

ちなみに・・・

テレビ業界でも“アシスタントプロデューサー(AP)”と言う仕事は少し特殊な側面を持ちます。
・プロデューサーを補佐するAP
・プロデューサーを目指すAP
と言う2つのタイプが存在し、アシスタントプロデューサーとして20年以上のキャリアを持つ人もいます。

同じ“アシスタント”でもアシスタントディレクターとして20年以上のキャリアを持つ人は恐らくいないと思いますので、名前は似ているけれどもタイプが全く異なる“アシスタント”ですね。

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