増員や昇給を考えている事業主さん必見!知らないと損する税金の優遇制度

2013年8月21日

今年6月の失業率は4年8か月ぶりの低水準となる3.9%に改善しました。有効求人倍率も4か月連続で上昇していることもあり、これから雇用情勢が良くなっていくのではないかと、期待が高まっています。

今後、従業員を増やしたり、給与水準を上げたりと考えている事業主も増えつつあるのではないでしょうか。

 

そんなときに、ぜひ知っておいてほしい制度があります。

雇用促進税制所得拡大促進税制です。

 

いずれも、雇用や所得の拡大をする事業主が、法人税や所得税の税額控除が受けられる、税金の優遇制度です。

 

2つの制度は、従業員を増やすのか、給与水準を上げるのか、目的によって選択する必要があります。

 

 

従業員を増やすなら ― 雇用促進税制 ―

 

どんな制度?

平成25年4月1日から平成26年3月31日までに始まる事業年度(適用年度)において、従業員を5人以上(中小企業は2人以上)増やし、かつ雇用増加割合が10%以上である企業が、雇用増加数1人当たり40万円の税額控除を受けられる制度です。

 

税額控除は、法人税額の10%(中小企業は20%)が限度となります。

 

個人事業主もこの制度を使うことができます。個人事業の場合は平成26年1月1日から平成26年12月31日までが適用年度となります。

 

対象となる事業主の要件は?

・青色申告を提出する事業主であること

・適用年度とその前事業年度に、事業主都合による離職者がいないこと

・適用年度に雇用者(雇用保険一般被保険者)の数を5人以上(中小企業の場合は2人以上)、かつ10%以上増加させていること

・適用年度における給与等の支給額が、比較給与等支給額以上であること

※給与等とは、雇用者に対する給与であって、法人の役員報酬や退職給与を除く額

※比較給与等支給額=前事業年度の給与等支給額+(前事業年度の給与等支給額×雇用増加割合×30%)

・風俗営業等を営む事業主ではないこと

 

手続き方法など

適用年度開始後2ヶ月以内に、ハローワークに雇用促進計画を提出しておかないと適用年度終了時に税額控除を受けることができませんので、注意が必要です。

手続き方法など詳しくは厚生労働省のHPから確認してください。

雇用促進税制と所得拡大促進税制

 

 

給与水準を上げるなら ― 所得拡大促進税制 ―

 

どんな制度?

個人の所得水準を底上げする観点から、従業員(国内雇用者)への給与支給額を5%以上増加させるなどの条件を満たした企業が、支給増加額の10%の税額控除を受けられる制度です。平成25年4月1日から平成28年3月31日までの3年間が適用事業年度となります。

 

税額控除は、法人税額の10%(中小企業は20%)が限度です。

個人事業主でも制度を利用できます。個人事業の場合は、平成26年1月1日から平成28年12月31日までが適用事業年度です。

 

この制度は、雇用促進税制とは違い、雇用保険の一般被保険者以外の従業員への給与も含みます。国内雇用者に対して支給する俸給、給料、賃金、歳費及び賞与ならびにこれらの性質を有する給与の額で、損金算入される金額をいい、役員の特殊関係者や使用人兼務役員への給与や退職手当は除かれます。

 

対象となる事業主の要件は?

・青色申告を提出する事業主であること

・給与等支給額が基準事業年度の給与等支給額と比較して5%以上増加していること

※基準事業年度とは平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度をいいます

・給与等支給額が前事業年度の給与等支給額を下回らないこと

・平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと

 

手続き方法など

この制度を利用する場合、雇用促進税制とは違って、税務申告より前に特段の手続きを行う必要はありません。

手続き方法など、詳しくは経済産業省のHPで確認してください。

 

 

雇用促進税制も所得拡大促進税制も利用できる場合は、選択適用となります。

所得拡大促進税制は、開業したての事業主でも利用できるので、検討してみるとよいと思います。

 

従業員や給与を増やすことを考えている事業主さんは、ぜひ参考にしてみてください。

 

社会保険労務士 平倉聡子

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